つるみね保育園は、鹿児島県鹿屋市にある社会福祉法人運営の保育園。「9割のアナログ保育と1割のデジタル保育」と銘打ち、1台のiPadをフル活用した独自の保育を展開している。杉本正和園長に、その取り組みの狙いや効果を聞いた。
(記事構成:八木 玲子=日経コンピュータ)

山内:私は先日、とあるイベントで杉本先生のお話を伺って、つるみね保育園の「9割のアナログ保育と1割のデジタル保育」を知りました。鹿児島市からも遠く離れた自然豊かな場所で、たった1台のiPadを使って非常にユニークな保育を実現されています。その成功の秘訣についてぜひ詳しくお話を伺いたくて、鹿児島からわざわざお越しいただきました。

 私が素晴らしいと思ったのは、ICT(情報通信技術)を使ったデジタル教育と、野外活動や科学教育とをうまく組み合わせておられるところです。まずは、つるみね保育園の成り立ちや、そこでICTを活用し始めた経緯から教えていただけませんか。

杉本:私は元々、鹿児島県で小学校の教員をしていました。17年間で、離島も含めた4つの小学校に赴任しました。実家は保育園を経営していたのですが、私はずっと小学校の教員を続けていくつもりでした。でも40歳の時に心境の変化があって、「幼児教育も学校教育も同じだ」と考え始めました。それで、実家を継ごうと決心したのです。

つるみね保育園の杉本正和園長

 実家の保育園は、大隅半島のほぼ中央。先日高速ができて時間が短縮されましたが、それまでは空港まで出るのにも車で2時間半かかるような場所で、過疎化・高齢化・少子化が進んでいます。そんな場所にある保育園を継ぐと言い出したので、家内とはずいぶん夫婦げんかをしました(笑)。

鹿児島県鹿屋市にあるつるみね保育園。自然に囲まれた環境で子どもたちが過ごしている