佐藤:この一言が、僕にはすごく象徴的に響きました。LINEは若者から年配の人までシンプルに使えるコミュニケーションツールです。学校でも、テキストや文書、画像、動画などをすぐに共有できれば、現場の方々はそれで満足なんです。

 学校が抱えている課題はシンプルです。そのシンプルな課題を、シンプルに解こうとしているプレーヤーが実はいなかった。そこでどんどん機能を削っていって、シンプルに使えるツールにしていきました。Edmodoとednityを比較してednityを選ばれる先生は、やはり誰もが簡単に使えるというところを評価してくださっています。

 本来は、いろんな機能を作り込む前に検証できていれば良かったと思います。その点は失敗だったと思うんですけど、でもそのあとちゃんと機能を削っていけたことは、我ながら英断でした。それが、サービスの価値向上につながったと思っています。

山内:「こんな機能要らないよ」と先生から言われたわけではなかったんですか?

佐藤:言われていません。でも、不要だと思ったものはそぎ落としました。一部の先生からは「残してほしい」と言われていた機能もありましたが、思い切って削りました。

山内:なんと。それは思い切りましたね。

佐藤:それができたのは、サービスを提供する上での哲学をはっきり持っていたからだと思います。それがないと、怖くなって機能をどんどん足してしまいます。普通は、機能を追加することがサービスの改善だと思われがちなので。

山内:その哲学とは、どんなものですか。

佐藤:僕は、「生徒や先生、保護者、地域の人が協力し合って、深い信頼関係が形成されている環境」が理想的な学習環境だと考えています。こういうコミュニティを作って学習を支えられる環境を作りたいというのが根本にありました。