ただ、米国に同様のツールが存在しないということは、ニーズがないのではないかとの不安が後藤氏にはあったという。そもそも教室に集まっている時点でインタラクティブな授業ができるのに、わざわざネットにつなげてインタラクティブにする理由が分からないといった趣旨の現地の声もあったそうだ。だがふたを開けてみると現地での「受けは良かった」(後藤氏)。米国での実証授業も検討しているという。

AltSchoolがKocriを試験導入

 コードタクトのschoolTakt以上に、現地のニーズを図りかねていたのがサカワのKocriだ。Kocriは、「iPhone」と「Apple TV」、プロジェクターを組み合わせて、既存の黒板に画像を映し出す安価な電子黒板ソリューションである。“黒板文化”があるのは日本とアジアの一部に限られるため、そもそも黒板の存在しない米国でどう捉えられるか不安だったという。

 そこでSXSWedu2016出展のために小型の黒板を制作し、現地に持ち込んでデモをしたところ、「板書するところがあれば使えるよね、ホワイトボードでもいいよね」と来場者の反応は上々。さらに現地の生の声を聞くことで、「電子黒板があまり活用されていないのは米国も(日本と)同じ」(坂和氏)との感触を得たという。既存の高価な電子黒板への疑問から生まれたKocriにとって、その状況は“追い風”だ。

 実際、SXSWedu2016への参加をきっかけとして、現地でのKocriの試験導入も始まった。「AltSchool(オルトスクール)」が現在試験的に使っているという(5月の報告会時点)。AltSchoolは米グーグル出身者が設立した新しい時代の教育を目指す初等教育機関で、サンフランシスコ地区を皮切りに、現在はニューヨークとシリコンバレー(パロアルト)、2017年にはシカゴにも開校する予定である。AltSchoolの関係者がSXSWedu2016でKocriを知ったことから話し合いが進み、試験導入に至ったという。

 プログラミングキャンプの開催と重なって報告会には出席できなかったライフイズテックも現地での評価が高かったという。同社が開発したキャラクターを使ったオンラインプログラミング教育サービスに、来場した子供たちが熱中していた様子などを報告会を主催するデジタルハリウッド大学院大学の佐藤昌宏教授が説明。日本発のEdTechが国内だけでなく、海外でも受け入れられることを印象付けた。

 なお、ライフイズテックはSXSWeduでデモをしたサービスを、国内では2016年6月15日に「MOZER(マザー)」の名称で発表した(関連記事)。さらに同社は英国・ロンドンで6月15、16日に開催されたEdTechのイベントである「EdTechXEurope(エドテック・エックス・ヨーロッパ) 2016」にも参加し、現地で英語版も発表。同イベントに設けられた「グローバル・オールスターズ・アワード」のグロース部門で優勝を飾るなど、MOZERの海外展開に弾みをつけた。