日本においてもブロックチェーンを利用する上での環境を整備する動きがある。2016年4月には日本マイクロソフトなどが参加する「ブロックチェーン推進協会」が設立されたり(関連記事)、5月には仮想通貨の取引所を登録制にすることなどを盛り込んだ資金決済法などの改正案が参院で可決されたりするなど、官民問わず話題に事欠かない。

 筆者が所属するリクルートグループにおいてもブロックチェーンのビジネス活用を視野に2016年4月、リクルートテクノロジーズがドイツascribeと協力して転職活動領域における検証を開始している。

ブロックチェーンを用いて個人の学習履歴が追跡できる

 話を冒頭のSXSWeduのキーノートに戻そう。マクゴニガル氏は近い将来、ブロックチェーンを用いて個人の学習履歴が全て追跡できるのではないかと説く。ビットコインなどの仮想通貨の実現に用いられるブロックチェーンを利用すれば、学んだことがすぐに記録され、その学んだことを必要とする個人や企業などとの仕事につながるかもしれない。つまり、学ぶことは稼ぐことと同意になるのではないか――。そのような未来予測だ。

 マクゴニガル氏の話を聞いた上で、筆者はこれからの学びのかたちについて、次にようになると考えている。個人の全ての学習履歴がブロックチェーンを用いて記録されるようになれば、学んだ価値の流動性の担保が可能になるのではないか、ということだ。つまり、次の二つの変化が学びにおいて起こるのではないだろうか。(1)学びの価値の単位がこれまでよりも細かくなること、(2)知識の系譜の明瞭化――である。

 (1)の学びの価値の単位が細かくなるというのは、例えば「学位」といった大きなものから「科目・学んだこと」というもっと細かい単位になるということだ。これまで履歴書には、「◯◯大学卒」「MBA取得」「司法書士資格取得」など修了証が発行される学位・資格、あるいは「◯◯大学留学」などの海外留学情報が記載されていた。筆者であれば、「早稲田大学大学院修了」「国会議員政策担当秘書資格取得」「チュニジア留学」などがそれに当たる。

 しかし、個人の学びはそれだけに特定されないはずだ。例えば、科目聴講をした場合、それは通常履歴書には記載されない。筆者自身、カリフォルニア州立大学イーストベイ校で会計学の単位を取得しているが、履歴書にその事実は記載していない。なぜなら「学位」ではないからだ。