タブレット導入は教育的効果があるか?

 文部科学省がまとめた「教育の情報化ビジョン」(2012年4月)によると、子どもたちの情報活用能力育成のためには1人1台の情報端末環境が大切であり、電子黒板、プロジェクター、実物投影機、大型テレビなどのデジタル機器がすべての教室で活用できる環境が必要とされている。

 文部科学省が2015年10月に公開した「平成26年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」(平成27年3月現在)によると、教育用コンピュータのうち「タブレット型コンピュータ台数」は、2015年3月1日現在で15万6018台であり、前年度の7万2628台の2倍以上に増加。教育現場へのタブレット導入は着実に進んでいる。

 では、教育現場へのタブレット導入によってどのような効果が期待できるのだろうか。熊本県教育庁教育政策課が公表した「ICTを活用した『未来の学校』創造プロジェクト調査結果(速報)」(平成26年4月)には、同県がタブレットを活用した実証授業について、学力向上などの効果を検証した結果がまとめられている。

 それによると、タブレットを「活用した授業の方が、活用しない授業より、児童生徒の意識調査、客観テストの結果が高い」と報告されている。客観テスト(小中学校全体)の結果を見ると、「思考判断」「表現技能」「知識理解」で差が見られ、いずれもタブレットを活用した方が、活用しないよりも点数が高くなっている。

 児童向けの意識調査では、「楽しく学習することができる」「授業に進んで参加している」「授業に集中して取り組んでる」「学習したことをもっと調べてみたい」「自分にあった方法やスピードで進める」の5項目で差が見られ、やはりタブレットを活用した方が高いという結果を得ている。

 一方、代表的な国際学力調査であるPISA(生徒の学習到達度調査)を実施する経済協力開発機構(OECD)は、2012年度のPISA調査結果を基にICTと教育について分析している(報道発表資料)。「生徒、コンピューター、学習:この3つを関連させる (Students, Computers and Learning: Making The Connection)」によると、教育のICTに大きな投資をした国において、PISAにおける「読解力」「数的リテラシー」「科学的リテラシー」の成績は目立って向上していないといい、ICTは単に導入するだけでなく、「学校では上手く技術をとりいれた授業が行われるべき」との見解を示している。

 単純にタブレットやネット環境が整えば学力が上がるというわけではないのは当然のことであり、タブレットの利活用によってどのような資質や能力が伸びうるのかについては、導入方法とともに、今後の大きな課題と言えるだろう。