佐賀県武雄市の「スマイル学習」は子どもに好評

 佐賀県武雄市は他の自治体に先駆けて、市内全16小中学校の児童・生徒約4000人にタブレットを配布している。市立の全小中学校を対象としたものとしては全国初の取り組みである。2013年から校内の無線LAN環境の整備を始め、2014年度には全小学校の全教室で無線LANの整備が完了している。2014年5月からは、全小学校の3年生以上の算数、4年生以上の理科で、タブレットを使った「スマイル学習」(武雄式反転授業)を行っている。

 「スマイル学習」とは、子どもがタブレットを家庭に持ち帰り、動画を活用して予習をした上で授業に臨み、授業中は動画では分からなかったところを教え合ったり応用問題を解いたりするというもの。通常の学校の場合、授業では講義を受けることがメインだが、反転学習の場合は、講義の受講は動画で宿題として自宅などでする点が大きく異なる。教員が通常の授業ではできないきめ細やかな対応ができたり、児童・生徒が自分のペースで学べるなどの利点があるとされている。

 実際、児童・生徒の評価はどうなのか。武雄市教育委員会が2015年9月に公表した「武雄市『ICTを活用した教育(2014年度)』第ニ次検証報告(要約版)」(ダウンロードページ)には、スマイル学習に対する児童のアンケート結果が掲載されている。それによると、算数の予習後のアンケート(n=7133)では、「明日の授業が楽しみですか?」との設問に、84.1%の児童が「とても楽しみ」「少し楽しみ」と回答しており、授業に臨む姿勢に前向きさが見られる。同様に算数の授業後のアンケート(n=3466)では、95.6%の児童が「よく分かった」「だいたい分かった」と回答しており、学習効果も見られるようだ。

 スマイル学習が成績や学習態度にどのような影響を与えたかも調査している。スマイル学習は2014年5月から実施しており、成績変化の検証には十分な成績データがあるわけではないとしているものの、2014年4月の5年生の算数と国語の成績を、同児童が6年生になった2015年4月の各成績と比較すると、スマイル学習を実施した算数の成績は相対的に向上するといった結果が得られた。一方、スマイル学習未実施の国語は低下する結果となったことから、「スマイル学習が成績に寄与した可能性があることを指摘したい」としている。

 教育現場へのタブレットの導入は最近のトレンドではあるものの、コストや運用・管理、トラブル対応、学校支給にするか個人所有のものを使うかなど様々な課題がある。この連載では導入後の課題等についても紹介していきたい。

高橋 暁子(たかはし あきこ)
ITジャーナリスト、情報リテラシーアドバイザー
高橋 暁子(たかはし あきこ) SNSなどのウェブサービス、子どもの携帯電話利用をはじめとした情報モラル教育、電子書籍などに詳しい。元小学校教員であり、昨今の教育問題にも精通している。本や記事の執筆のほか、携帯電話やSNSなどをテーマに講演、セミナー、アドバイザーなども手がける。近著は『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社刊)、『ソーシャルメディア中毒-つながりに溺れる人たち-』(幻冬舎刊)