左から吉村氏、草野氏、清水氏

PHHに来る生徒はN高を卒業したいと思っているのか。プログラミングができれば高校を卒業しなくてもいいと思ったりしないか。

草野:それについては「高校卒業資格は大事だ」といつも話している。「一般教養はすごく大切」という話も結構する。プログラミングするということは、何かを作るということ。何かを作るということはそれを欲しい人がいるということ。「人は何が欲しいか」や「欲しい人の気持ち」が分からないままで作れるか、という話だ。「プログラマーになったからプログラミングをします」というのは「農家になったから野菜を作る」と言うのと同じ。誰が何を求めているかを考えるのは絶対に必要だ。そのために一般教養はとても大切だという話をしている。N高の勉強を疎かにしないようにいつも言っている。

清水:高校卒業資格を持っていると、選択肢の幅が広がる。大学に行きたいと思ったときにすぐ行けるし、海外の大学にも留学できる。高校を卒業していないと、いちいち高認(高等学校卒業程度認定試験)を取らなければならない。

草野:生徒には「プログラマーになりたいと言うのはやめなさい。入りたい会社が見つかったら、そこに入りたいと言いなさい」という言っている。「プログラミングを学んだんだからプログラマーにならなきゃダメだ。プログラマーになれなかったら落ちこぼれだ」とは絶対に思っちゃダメだ。「プログラミングを覚えたんだし、それを使ってファッションデザイナーになると言った方が全然いいし、数学的に計算されたベストなカラーバランスの服を作るとか、すごく楽しいじゃないか」。そうした話をよくしている。

 選択肢を増やして選べるように勉強しているのであって、学んだことのせいで選択肢を狭めないようにしなければならない。「ハンマー釘病」という言葉がある。ハンマーを持つと何でも釘に見えてハンマーを使わなきゃならないと思うという意味だ。ハンマーで木を切ろうとするのは馬鹿げている。そうしたときはノコギリを使うべき。

 ところがプログラミングは「ハンマー釘病」のきらいがすごく強い。プログラミングを勉強すると、何でもかんでもプログラミングで解決しなければならない気持ちになる。例えば、発売されている本の情報を入力したいときに、スキャンしたデータから何とかその情報を読み取れないかと考えがち。だが、データを入力するバイトを雇ったほうが明らかに早く、費用対効果がよいこともある。問題を解決できればよいのであって、手段はプログラミングに固定されるべきではない。プログラミングを学ぶ意義は「取り得る手段の選択肢が増える」ということだ。

 いいプログラマーは道具を選ばない。目的のためにコードを書く。プログラマーはつい「いいコード」を書こうとしがちだが、ゲームコースの生徒はそのあたりのことがよく分かっている。彼らは「いいコードじゃなくていいゲームを作りたい」と言う。プログラマーだからこそ作るものにこだわりたいという姿勢はとてもいい。

第3回に続く