堀田:そんな中、2011年から実施されている現在の学習指導要領で、先生が教えるためのICT環境はきちんと整えましょうということになりました。諸外国から見れば一周遅れくらいですが、全国的にかなり整備は進みました。小学校でいえば、9割以上の学校に大型ディスプレイが導入されています。

 その間に諸外国では、学習者向け1人1台環境の整備が進みました。特に、シンガポールや北欧などが先行しています。これに対して、日本はまだまだの状況です。

 2010年に始まったフューチャースクール推進事業などによってモデル校への整備は進みましたが、普通の自治体が普通にできるレベルには至っていません。佐賀県や東京都荒川区、渋谷区など力を入れる自治体が登場していて、それはとても素晴らしいことですが、「子供にPCは早すぎる」と考えている自治体もまだあります。

2016年10月に、佐賀市立城西中学校で実施された理科の公開授業の様子。各グループが沸点についての実験の結果をタブレットに入力し、それぞれの結果を電子黒板に映し出して比較した

 国が掲げている学習者用PCの整備目標は「3.6人に1台」ですが、実際は2016年3月時点で「6.2人に1台」です。目標をとっくにクリアしている自治体もあれば、まだ「20人に1台」という自治体もあります。これが現状です。

山内:かなり厳しい状況で、世界的に見ても遅れているといえますね。そんな中で、ICT環境整備に関する有識者会議は何を目的に発足したのでしょうか。

堀田:2017年3月に公示された新学習指導要領は、「情報活用能力」「ICTを学習で活用する力」を身につけるべきだとの方針を明確に打ち出しています。従来は「教科の学習の一環で情報活用も学ぶ」程度の位置付けでしたが、今後は「学習の基盤」と位置付けられました。例えば子供たちが自ら調べたり発表したりするアクティブラーニングが注目されていますが、この学習スタイルはICTを使えなかったら成り立ちません。

 つまり今後は、ICTを本格的に整備しなければなりません。ICT整備を担うのはそれぞれの自治体ですが、整備の方針は文部科学省でまとめて、メッセージとして発信すべきではないか。そうした経緯で有識者会議が発足し、あるべき整備の方針について議論しました。その成果が「最終まとめ」です。