堀田:ただ国内の現状を考えると、当面は税金で整備すべきでしょう。では台数としてどの程度必要か。もちろん学校の規模や校種によって異なりますが、「3クラスに1クラス分」が一つの目安になりました。クラス全員が1台ずつ端末を使う必要がある授業は、実践校の過去の事例などから分析しても、1日に1~2回だからです。

 1日5~6時間の授業があるとして、端末が必要な授業は3分の1程度です。3クラスに対して1クラス分の端末があれば、必要なときに使える計算になります。またこの程度なら、予算も確保できるのではないかということになりました。

山内:既に活用している学校の事例から考えると、3クラスに1クラス分程度あれば最低限の学習が保証できるといえるわけですね。

東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授(左)と、東京大学大学院情報学環の山内祐平教授

堀田:はい。言い換えれば、新学習指導要領で期待されている学習活動は、これくらいの端末が整備されていないと十分にこなせないということです。

山内:つまり3クラスに1クラス分は、最低ラインであると。

堀田:そうです。もちろん、全クラス分あるに越したことはない。でも、無い袖は振れません。有識者会議では、「今あるお金でどこまでできるのか」という、非常に厳しい議論を重ねました。僕は座長として「無いと絶対にダメなものは何ですか」ということを、議論の最中に何度も問いかけました。

 端末以外も同じです。電子黒板なら、ペンで書き込める機能はあった方がいい。でも、何より優先すべきは「子供たちに分かりやすいように大きく映すこと」です。実物投影機(書画カメラ)もあった方が便利ですが、よく使われているのは小学校や特別支援学校で、中学や高校はタブレットがあれば代替できます。

 このように「どこまで我慢できるか」を考えて、指針を作りました。

山内:逆に言えば、これは最低ラインなのだから、絶対に整えてもらわないといけないわけですよね。「これでいいんだ」と思われては困ります。

堀田:有識者会議でも、「一つの目安を作ると、それがゴールだと思ってしまう人が出てしまう」という懸念がありました。「安価で低機能な製品でもよい」という部分に対しては、民間企業の方から「当社の製品は要らないということですか」と言われたり。本当に、本当に難しかった。

 でも、やはり地方に整備を進めてもらうには、何らかの指針が必要です。今回の指針の内容は、現在文部科学省で策定が進んでいる2018年~2022年の次期教育振興基本計画にも反映されるでしょうし、それによって実現性は高まるでしょう。今後5年間で、この最低ラインが達成されることを願っています。

山内:本当ですね。では最後に、現場の先生方について教えてください。今、問題になっているように、先生方は多忙を極めています。「こんなに忙しいのに、ICTなんてやっていられない」という先生もいます。こうした人たちに、どうアプローチすればよいのでしょう。