2015年6月4日から6日まで都内で開催された大規模教育関連イベント「New Education Expo 2015 in 東京」。会期中の6月5日、「教育現場の『著作権』が危ない~授業・教員研修の課題とその解決策~」と題したセミナーが行われた。

 セミナーには教育現場の著作権に詳しい佐賀県教育委員会副教育長の福田孝義氏、山口大学国際総合科学部教授の木村友久氏、早稲田大学大学院教職研究科客員教授/早稲田大学高等学院教諭の武沢護氏が登壇。それぞれの経験を交えながら、直面している著作権の問題や取り組みについて語った。司会進行は日経BP社教育とICT Onlineの中野淳編集長が担当した。

写真1●教育現場の著作権問題について解説した日経BP社教育とICT Onlineの中野淳編集長

 現在、教育のICT利活用の中で、知らず知らずのうちに著作権を侵害してしまうケースが増えている。冒頭、教育現場における基本的な著作権の考え方ついて解説した中野編集長は、ICT利活用教育の中で著作権の問題が多い理由として「デジタルコンテンツが簡単にコピーできてしまうこと、著作権法の中身を理解していない教員が多いこと、インターネットを利用した学習スタイルの多くが著作権法35条で認められた『教育現場の例外措置』の範囲を越えていること」の3点を挙げた(写真1)。

 例えば著作物を無断転載して作成した独自教材を教育委員会のサーバー上で共有する、あるいは無断転載したeラーニング教材をインターネットで公開する、などの例を示しながら、「ネットを通じて新しい学びの形が生まれている。非常に教育効果が高いものの、やり方によっては著作権法違反になってしまう」と警鐘を鳴らした(写真2)。

写真2●ICT利活用教育での著作権法違反例

 こうした違反例はICT利活用にとどまる話ではない。著作権法35条の例外措置を越えてしまうケースとして、公開授業で見学者に教材を配布する、市販の教材をコピーして授業で使用するといった例などがあるとした。また、許可を得ずに著作物を利用できる「引用」についても「文章を転載して最後に参考文献を抜き出せばいいと解釈している人がいるが、自分の言いたいことをきちんと書いたうえで、それを補足するために必要最低限の該当部分を持ってくるのが引用のルール」(中野氏)と述べ、教育現場で起こりがちな問題について言及した。