知財教育を全学必修科目にしている山口大学

 2番めに講演したのは山口大学の木村氏。同大学では1年生の全学必修科目として知財教育を採用している。さらに全学必修の8コマのうちの4コマは著作権のため、「山口大学では最低限の著作権の知識がないと卒業できない仕組み」だと語った(写真5)。

写真5●山口大学国際総合科学部教授の木村友久氏

 必修科目で著作権法を学んだ後には研究者倫理、研究ノートの使い方もフォロー。2~4年生の展開科目として「ものづくりと知的財産権」「コンテンツ産業と知的財産」などを設け、さらに2015年度からは同じく上級生向けに一単位の選択科目で特許法、著作権法、商標法といった専門科目を新設するなど、知財教育の充実ぶりが伺える。

 こうした専門的な科目を8コマで扱うには時間が足りないのも事実。そこで2014年度は試験的に反転授業を導入した。前年の授業から法律要素の部分を録画しておき、事前にビデオで提供。ビデオによる予習を前提とし、実際の授業では演習や発想法を学ぶというものだ。

 その結果、95%の学生が事前学習を行い、より認識を深めることができたと話す。試験の正答率が高い傾向もあったという。「ビデオを10分以内にすると、移動中にスマホで見たり夜間に自宅で見たりする。講義時間以外の学習時間の確保という意味では非常に価値がある」。

 木村氏が反転授業、eラーニングにより目標とするのは、大学における高次のアクティブラーニングの展開だ。これにはICT利用による独自教材が必要となる場合があるが、その際に大きく立ちはだかるのがインターネットを利用した学習スタイルに制約がある著作権法35条1項の壁だという。「各大学で反転授業、完全eラーニングも含めて合理的に授業を組み立てていくことを考えなくてはならない。その際に、著作権法35条の部分を皆さんで本気になって考える時代になってきたのではないか」。木村氏は先駆者ならではの重みのある言葉でこのように締めくくった。