写真●古河市教育委員会 教育部 指導課の平井聡一郎課長

 茨城県古河市教育委員会は2015年3月23日、市内公立小学校への教育用タブレット導入に関する記者説明会を開催した。同市では2015年9月から、すべての公立小学校へSIM搭載モデルのタブレット端末を配布して、授業や家庭学習で活用することが決まっている。同日の説明会では、教育委員会 教育部 指導課の平井聡一郎課長(写真)が、同市におけるICT環境整備の動向、およびICT教育の取り組みについて解説した。

 同市では、Windows XPのサポート終了に伴い、小中学校のパソコン教室に設置されたPCの入れ替えを進めている。同時に、教育におけるICT利用の場を、パソコン教室から普通教室や体育館、校外学習へ移行する。体育館や校庭、校外での利用を想定し、新たに導入する端末はSIM搭載のタブレット端末を選定した。2013年度から2014年度にかけて、市内の中学校全9校へタブレット端末を導入。2015年度は、小学校に重点をおきタブレット端末を整備する。

 具体的には、2015年9月までに、市内全23校の小学校のうち、3校を重点整備校として児童1人に1台のタブレット端末を配布。残りの20校には、1校につき40台の児童用タブレット端末を整備する。そのほか、教員用に全129台、小中学校から15人公募する「教育ICT指導教員」に1人10台を配布する計画だ。タブレット端末の機種は未公表だが、「9.7インチ以上、10.1インチ以下でセルラーモデルのタブレット端末」(平井課長)というコメント、および同市のICT教育モデル校や中学校での活用実績から、iPadだと予想される。

 「SIM搭載モデルを採用することで、通信環境はキャリアが保証してくれる。端末の保守については、民間の保守事業者と契約する」(平井課長)。

「思考力・思考意欲」の継続観測でICT教育の効果検証

 同市では、2013年度から2014年度の2年間、市内1校(古河第五小学校)をICT教育モデル校として、国語・算数・理科・社会・音楽などの授業で、iPadやデジタル教科書、大型ディスプレイを活用してきた。2015年9月以降、モデル校で蓄積したノウハウを市内全小学校へ展開していくとする。2015年度は、まず、国語と算数の授業でタブレット端末を活用する計画だ。「5年後を目途に、市内の全小学生に1人1端末の環境を実現したい」(平井課長)。

 小学校でのICT活用の効果検証は、文部科学省が全国の小学校6年生と中学校3年生を対象に実施している「全国学力・学習状況調査」の質問紙調査のうち、思考力や思考する意欲に関する調査を、同市小学校の全学年に対して継続的に実施することで、その変化を測っていく。

 また、2015年度の1学期と2学期に、市内小学校3校(重点整備校を含まない)で、同市・慶應義塾大学・凸版印刷による学力向上についての共同実証研究を実施する。凸版印刷が、対象3校の3年生全員分のセルラーモデルiPadを貸与し、同社が開発中のタブレット学習システム「やる気応援システム(仮称)」を、「わり算」および「少数」の家庭学習に活用する。同システムで取得した学習データを基に、慶應義塾大学 総合政策学部の中室牧子准教授とともに、同実証研究の効果検証を行う。