画面●テレビ会議でインタビューに応じた宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校の西山正三・研究調査部主任

 ネット会議システムのブイキューブは2015年4月7日、クラウド型の「V-CUBEミーティング」が宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校(同県五ヶ瀬町)に採用されたと発表した。同校は独特の国際教育に取り組むことで知られる。海外と接続した遠隔授業を行うとともに、専門家から論文指導を受けるなど先端的な教育に活かす。

 V-CUBEは2014年夏ごろから試用しており、今回本格導入を決めた。これまでにバングラデシュや英国にいる有識者による遠隔授業を行った実績がある。同校では4年生(高校1年生に相当)から6年生にかけて「再生可能エネルギー」「マイクロファイナンス」など特定のテーマを決めて英語の論文をまとめるカリキュラムを組んでいる。ネット会議の環境を整えることで、国内外の専門家から生徒が直接論文指導を受けられるようになる。

 五ヶ瀬中等教育学校は1999年に日本初の「中等教育学校」として発足し、中学校と高等学校に相当する6年間の中高一貫教育を行うのが特徴。入試倍率が3倍超で推移する人気校で、卒業生の多くは国公立大学などに進学する。

 ただ宮崎・熊本の県境近くの中山間地にあり、最寄りの熊本空港から車で1時間半かかる。海外はもちろん、九州各地から講師を招くのも容易ではないのが悩みだった。「生徒が実地研修に出向くには予算や人数の面で制約がある。テレビ会議を使った遠隔教育をうまく併用したい」(西山正三・研究調査部主任)という(画面)。

光ファイバー整備で下がったハードル

 V-CUBE利用のため富士通製Windowsタブレット9台をリースで調達した。これを約240人の全校生徒や教職員で共用する。五ヶ瀬町ではこれまで光ファイバー環境が整っておらずネット会議の利用が困難だったが、2014年夏にようやく校内に光ファイバーを引き込むことに成功。無線LAN環境も同時に整備している。

 なお生徒にタブレットを配布する予定はないという。全寮制を敷く同校では、タブレットだけではなく、携帯電話やゲーム機の利用も禁止しているためだ。共用テレビやパソコン室はあるものの、生徒が家族と連絡したい場合は公衆電話を使わせるなど厳しく制限している。

 西山主任は、「五ヶ瀬町という立地で『不便さを学ぶ』というのが開校以来の重要なコンセプト。ネット会議環境を整えてもそれを変えるつもりはない」と語る。生徒たちには、スマートフォン(スマホ)やゲームができない分、時間を本や新聞を読むために充てほしいと考えている。