写真1●教育フェスタの模様

 佐賀県教育委員会は2015年6月9日、教育現場でのICT活用に関するイベント「佐賀県ICT利活用教育フェスタ」を開催した。有識者による講演やシンポジウム、教員による事例発表などの場が設けられ、県内の小・中・高等学校の教員や教育委員会の職員、県外からの視察者など約750人が参加した(写真1)。


写真2●佐賀県の教育について説明する佐賀県教育委員会の福田孝義副教育長

 佐賀県は教育現場でのICT活用に力を入れており、他県に先駆けて電子黒板の全校配備やタブレット/PCを活用した授業などを展開している。佐賀県教育委員会の福田孝義副教育長は、「実証実験や導入支援の時期は過ぎ、今年度から改善・充実・定着させるフェーズに入った」と言う(写真2)。「こうした研修などを通じて、高度情報化やグローバル社会に生き抜く力を育む教育を実現していきたい」(同)と語った。

「普通の先生ができることが肝心」、東北大学大学院の堀田教授

写真3●基調講演に登壇した東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授

 基調講演では東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授が登壇し、ICTを活用した教育の注意点などを解説した(写真3)。講演の中で堀田教授が強調したことの一つが、「普通の先生ができるICT活用」の重要性だ。堀田教授は「先端→先進→先導→啓発→普及→継続」の段階を示し、「世間では先端や先進に注目が集まる。だが、普及し継続できるようにならなければ意味が無い。教育でのICT活用を普及・継続できるようにすることが、各学校にいる情報化リーダーの役割だ」と強調した。

 もう一つ強調したことが、「ICT活用の段階的な推進」である。「落ち着いて学べる環境がなければ、そもそも自立型や協働型の学習はできない。ベースがないところにタブレットを配っても、生徒がついてこれず授業が崩壊する。しかも、(生徒が乱雑に扱って)タブレットも崩壊する」と堀田教授は指摘する。「実物投影機を使い始め、それが電子黒板に変わり、投影していた紙の教科書がデジタル教科書に変わる。先生がタブレットを使い、それがグループ学習で使われるようになり、そして一人一台になる。こうした段階を踏んでいくことで、自然とICTを授業に組み込めるようになる」と助言する。「こうした取り組みは全国的には始まったばかり。佐賀県はかなり進んでおり、だから注目されている」(同)。

写真4●堀田教授が紹介した公開授業の模様(小学4年生の理科の授業)

 教育現場でのICT活用例として、堀田教授は自身が座長を務める国の「先導的な教育体制構築事業」の参加校(武雄市立北方小学校や武雄市立北方中学校)の公開授業の様子を紹介した。例えば、小学4年生の理科の授業では、タブレットを使って実験の予備学習を動画で学んだり、実際の実験結果を録画したりしていた(写真4)。