2015年8月20日~22日まで富山大学で開催されたICT活用教育に関する学会「2015 PCカンファレンス」では、様々な講演やシンポジウム、研究発表などが行われ、活発な議論が繰り広げられた(関連記事)。

LINEを「実践型PBL」で活用、LMSとの連携が課題

 多くの研究発表がある中、学生に圧倒的に普及しているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「LINE」を教育現場のツールとして活用した事例も発表され、注目を集めていた。「コンテンツとアセスメント」をテーマにした21日の分科会で、産業能率大学情報マネジメント学部の古賀暁彦教授は「『LINE or manaba?』-授業外活動における情報共有ツールの選択を考える-」と題し、LINEをPBL(Project Based Learning、課題解決型学習)の情報共有ツールとして使った際の課題などを報告した。

 古賀教授が担当する「マネジメント実践ゼミII」では、学生が実際の店舗運営などを通して、大学近くの観光地活性化に取り組んでいる。こうした「実践、継続型」のPBLを推進するうえで、同ゼミではLINEが重要な情報共有ツールになっている。「学生がメールを使わなくなっており、LINEが逆転している」(古賀教授)中、学生側からLINEを使いだしたという。ただし、LINEはフロー情報の扱いには便利である半面、オフィス系ソフトのファイルの共有などストック情報の取り扱いには適さないといった状況があった(写真1)。

 そこで同ゼミでは、同校が全学導入した朝日ネットの教育支援システム「manaba course」をストック情報の蓄積などに活用。古賀教授は、実践型PBLに必要な情報共有ツールについて、「LMS(Lerning Management System、学習管理システム)単体で語る時代は終わった」とし、ツール間の連携が重要だと述べた(写真2)。ただし、かつて高いシェアを占めていたSNSが現在ほとんど使われなくなった状況にも触れ、特定のSNSに依存しないために、LMS側のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)公開の必要性を訴えた。

写真1●LINEを「実践型PBL」で利用。産業能率大学の古賀暁彦教授は「『LINE or manaba?』-授業外活動における情報共有ツールの選択を考える-」と題して発表した
写真2●実践型PBLで求められる情報共有ツール。学外で利用することが多いため、スマートフォンでの使い勝手向上や、ツール間の連携が必要であると述べた