プログラマーとして活躍する池澤あやかさんと鳥井雪さん。前回は、プログラミングの魅力について語っていただいた。後半はプログラミングが学校教育として必修化することのメリットなどについてお話をうかがった。
つらいときを乗り越えるには?
池澤:プログラミングを始めた当初が一番つらいと思うんですよ。全然分からない状態なので。
鳥井:何をしていいか分からないし、プログラミング環境も手元にあるのが正しいのか分からない。
池澤:環境設定とか最近は楽になってきましたけど、私が始めた当時はまだ難しくて。環境依存とか、バージョン管理って何?ってなりますよね。
鳥井:今はクラウドでRuby on Railsが使えたりするので、だいぶ楽になったと思いますね。でも、始めた当時は難しくて人に頼ることもありました。
池澤:頼る力って重要ですよね。自分では分からないと認めて、人に聞く力。
鳥井:何が分からないかを自分でできるだけ整理して、それを人に伝えることは大事ですね。私は、職場で恵まれていると思います。家庭でもRubyの人と結婚しちゃったんで(注:Rubyのコアコミッターである笹田耕一氏)、頼りにできる。
池澤:私は、頼れる環境が割となかったですね。大学ではまだ先生やTAの方に聞けましたが、独立してフリーランスになってからはなかなかコードレビューしてくれる人もいなくて。駆け込み寺のように、いろんな人にFacebookメッセージとかで「すみません、教えてください」というように声をかけて教えてもらったりしました。「ありがとうございます、ビールお送りします」ってお礼をしたり。社会人1年生ぐらいのときですね。
鳥井:まさに頼る力ですね、それ。
池澤:あとは、フォーラムで聞くこともあります。
鳥井:プログラミングの情報交換ってオンラインで常にされているし、OSS(オープンソースソフトウェア)だとコミュニティのサポートがあったりするので、そこへの入り口さえ知っていれば、だれでも聞けますね。
池澤:返信があるかどうかはまた別の問題ですが、大体は何らかの返信が来ます。時間はけっこう長くかかったりしますが。1週間かかったり。
鳥井:基本的に善意でやってくれるものなので仕方がないですね。
池澤:そうなんですよ。なので、急ぎの仕事だときつかったりするので、そういうときは身近な人を頼るしかないなという感じです。
もう一つ、つらいのは、デバッグのときですね。うまくいったと思っていたのに、環境依存系のエラーが出ると厳しいです。似たような症状で苦しんでいる人がいないかエラーメッセージで検索したりしながら、試行錯誤しますよね。
鳥井:環境依存系はつらいですね。ロジックのまちがいだと、意外と探偵っぽくてデバッグが楽しいんですよ。「ここからここまでは動いているので、きっとここだ!」みたいなのは楽しいんですけど……。
池澤:よく分かります。ロジック系のエラーは解決するのが楽しいです。一方、環境依存によるエラーだと疲弊します。「別に私、悪くないのに」みたいな。