行政、学校、メーカーの三位一体で取り組む相模原市

 相模原市のこれまでの実践と今年度の取り組みについて、同市教育委員会 教育局 総合学習センター 指導主事の渡邊茂一氏が説明した。

 プログラミング教育に取り組むには相応のICT環境の整備が望まれるが、相模原市の場合、義務教育課程のICT環境整備は決して進んでいたわけではないという。政令指定都市である同市はパソコン1台に対する児童・生徒の数も多く、教育現場での児童・生徒向けのパソコン普及率は全国の自治体の中でも下位に甘んじているという。そうした中、行政と学校の教員、そして実績のあるメーカーと「三位一体で実践してきた」(渡邊氏)。

 同市ではまず「小中(小学校・中学校)系統的な視点でプログラミング的思考を育てる授業作りを探ってみる」ことを掲げて取り組んだ(写真3)。その際、同市は小学校でどのような学習をした方がいいかということについて、「一つは情報の科学的理解やプログラムを利用した問題解決・発見する力を育てるための学習、もう一つは各教科の論理的思考を育てる際にプログラミングをツールにする学習活動、という二つに分けて考えることにした」(渡邊氏)。

写真3●相模原市でのプログラミング教育の実践。行政、教員、メーカーの“三位一体”で取り組んだ

身近な機械を題材にしてレゴで組み立てる

 同市における小中系統的とは、現在の中学校の技術・家庭で実施されているプログラミング教育について、その内容が次期学習指導要領では小学校に“降りてくる”と捉えた上で、小・中学校それぞれの学習内容を探り、実践したことを指す。中学校では現行の学習指導要領に沿って、プログラミングによって接触センサーを使ったロボットを動かしライントレースすることなどに取り組んでいるが、「情報処理の手順が単純なことと、身近な技術とかい離している教材を使っている現状があり、もうちょっと高度なことをするには課題があると考えた」(渡邊氏)。

 そこで、中学校では複数センサーによる制御が可能な教材を用いて、身近な技術を題材にしてプログラミングをする授業を作成。教材として「教育版レゴ マインドストーム(LEGO MINDSTORMS)EV3」(以下、EV3)を使って、自動改札機やタッチパネル式自動販売機という生徒にとって身近な機械をEV3で疑似的に作成する授業を展開した。

 自動改札機は、ICカードを読み取ってガードを開けるという動作をカラーセンサーとカラーカードに置き換えて作成。タッチパネル式自動販売機は、タブレットをタッチパネルに見立ててそれを操作することでジュースが出るという動作をEV3で実現した。カラ―センサーでお金に見立てたブロックを計測し、画面の中の商品をタッチすることでブロックで作成したアクチュエーターが飲み物を排出するというものだ。