デジタル+アナログのハイブリッドで取り組む草津市

 相模原市に続き、滋賀県の草津市教育委員会事務局 草津市立教育研究所 指導主事である嶋田達也氏が、同市のこれまでのICT化の取り組みと同市立玉川小学校のプログラミング教育などを説明した。草津市では平成21年度から校内LANを整備し、校務用PCや電子黒板を導入。さらに平成25年度からはタブレットPC約4800台を導入し、児童・生徒2.3人に付き1台の環境を整えた。

 草津市ではこうして導入したデジタル環境と、既存のアナログ環境を組み合わせた授業を展開し、体験的学習や問題解決的な学習などを実践。これを同市では「草津型アクティブラーニング」と呼んでおり、草津市の特徴の一つである。「一つの授業の中で組み合わせて使っていくようなハイブリッドな授業の創造を目指している」(嶋田氏)。

 このほか、草津市はロボットプログラミングにも取り組んでいる。草津市は、ソフトバンクグループが人型ロボット「Pepper」をプログラミング教育に活用することを目的に3年間無償で貸し出す「Pepper社会貢献プログラム」の「スクールチャレンジ」実施自治体の一つ。市内14の小学校と中学校1校にPepperを設置し、プログラミング教育への活用が始まっている。

 こうした環境の中、嶋田氏は「コンピュータやICTを活用した学習、プログラミング教育の部分と、コンピュータを使わないアンプラグドを組み合わせて論理的思考力や問題解決力を高めることができると考えている」と説明(写真5)。「それらを統合したものをプログラミング的思考と捉えており、これからの高度情報化社会においては欠かすことのできない能力だと捉えている」(同氏)と述べる。

写真5●滋賀県草津市が取り組むプログラミング教育の概念図

 同市のもう一つの特徴が、市内にある立命館大学情報理工学部と連携した研究体制を築いている点。プログラミング教育だけでなく、情報活用能力の育成やカリキュラム作成についての助言を得るなどしており、また実際に校区に同大学がある玉川小学校は研究校として、児童と大学生が交流する授業なども展開している。

今年度のプログラミング教育は「段取り力」、思考を可視化

 プログラミング教育を先行実施した玉川小学校は、児童数600人で各学年3クラスの規模の学校。実践例として、例えば3年生はビジュアルプログラミングツールである「Scratch」を図画工作で用いて絵をつないだアニメーションを作成したり、6年生はプログラミングが学べるWebサイトである「プログラミン」で校内ウォークラリーの出し物を作って下級生に使ってもらったり、といったことに取り組んだ。

 こうした取り組みを通して嶋田氏は、「コンピュータを使ってプログラミング学習はできていくんだな、ということは実感として分かってきた」と述べる。続けて、「(コンピュータを)使わない学習も検討していかなければならない。そして教科の中でプログラミングソフトをどう使っていくか」ということが重要だと説明する。

 こうした実感はそのまま課題に直結する。評価をどうするか、授業時間の確保をどうするか、といったことを議論の柱にして今年度は取り組んでいるという。同氏は今年度のプログラミング教育のテーマに「段取り力」を掲げる(写真6)。段取り力によって思考および思考過程の可視化を目指す。「(プログラミング教育を通して)思考の可視化にこだわりたい。子供たちが発表するためにソフトを活用するのではなく、子供たちが思考するためにソフトを活用する」と嶋田氏は述べる。

写真6●「段取り力」をテーマにプログラミング教育を実施。思考および思考過程の可視化を目指す

 玉川小では、今年度は次の四つを柱に実施しているという。(1)プログラミング的思考を取り入れた教科の単元学習、(2)大学等の協力を得たScratchなどのプログラミングツールを活用した学習、(3)情報モラルの指導、(4)コンピュータでの文字入力の習得――である。(4)については、低学年ではマウスでダブルクリックができなかったり、文字入力もキーボードではなく動かない画面を触ったりしている状況があり、柱の一つに据えたという。