「いかにこれからの教育にとってICTが重要か」、赤堀氏が講演

 特別講演に立ったのは東京工業大学名誉教授であり、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長、ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)会長を務める赤堀侃司氏(写真3)。静岡県の高校教諭から始まり、長く教育の最前線を見つめてきた赤堀氏は、“いかにこれからの教育にとってICTが重要か”について熱弁をふるった。

写真3●東京工業大学名誉教授、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長、ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)会長を務める赤堀侃司氏

 テーマは「教育ICTのパラダイムシフト―教育現場は、どう変わっていくのか―」。まず日本の教育システムの中で最も大きいのは“教師”だとし、国際的にも日本の教師の力量は高く評価されていると語った。しかし、そのきめ細やかな指導だけでは今後は対応しきれないとする。そこには急速に進むインターネットを含むデジタル環境が影響しているという。その状況を、赤堀氏は次のように分析した。

 「どこに住んでいようと、ハーバード大学の授業が受けられる時代になってきた。子どもたちはその事実を受け止め、デジタル環境にアクセスしながら自分たち自身で話し合って協働学習(コラボレーティブラーニング)することに抵抗がない」

 「インターネットやデジタル環境が彼らにとってそれほど魅力的なら、そこに優れたコンテンツを提供して生徒たちが本気でやる気を起こすような教育環境にすればいい。日本ではモラルの問題が先に来てしまい、教育環境でインターネットを避ける傾向にあるが、欧米は違う。効果が見込めるなら使おうじゃないかという思考だ」

 さらに赤堀氏は教師の役割について次のように語る。「これからの教育の基本的なパラダイムは、うまく教えるというより、いい環境を与えるということ。教師の役割はそれを手助けするような存在になるだろう。恐らく教師は、支援者、アドバイザー、コミュニケーターのような存在に変わっていく。これは日本だけではなく世界的な考え方の1つになっている。これこそ、教育のパラダイムシフトだ」

 赤堀氏は、視察したフィンランドの小学校の例を挙げながら、いかに自分たちで考えながら答えを出すことが重要かについて説明した。自ら考える自律型の教育に長け、「学習到達度調査」(PISA)のトップクラスの常連であるフィンランドでさえ、近年は積極的にICTを取り入れたドリームスクールというプロジェクトを立ち上げたそうだ。