「紙と鉛筆だけではもはや問題解決など不可能」

 日本国内でもタブレットを大量導入し、考える力を育てている学校がある。茨城県つくば市の公立小中一貫校「春日学園」では、職場見学の際にタブレットで写真を撮影し、素材を組み合わせて資料を作成。それをクラスでプレゼンテーションする試みを行った。「これによって、人に伝える能力があるかどうかを確認している。ペーパーテストができるだけじゃだめですよ、ということだ」(赤堀氏)。

 自らが課題を見つけて主体的に解決していくこうした「アクティブ・ラーニング」は、2020年に実施される学習指導要領改訂に盛り込まれていくであろう要素だ。赤堀氏は「学校を出て会社に入って本当に役立つ能力が身についているのか。学校はそれをきちんと保証していかなくてはならない」と述べ、これからの教師は内容だけではなく、教える方法と指導力も問われると指摘した。

 また新しい教育法として、「反転学習」についても言及した。これはベーシックな知識・理解の部分、すなわち、これまで学校で教えていた部分を動画によって自宅で学習し、より高次な応用・分析・評価といった認知能力の発達を学校で実施するというものである。ここでも動画閲覧や学習にタブレットは欠かせない。

 佐賀県では私物のタブレットを学習用として学校に持ち込む「BYOD(Bring Your Own Device)」が許可されるなど、めまぐるしく環境は変わりつつある。これを受け赤堀氏は「家庭の中にタブレットが普及すると、それが学校に影響を与える。社会の仕組みが学校の仕組みを変えていくのではないか」と語り、次のような言葉で講演を締めくくった(写真4)。

写真4●「変化の時代」の教育の在り方を展望する赤堀氏

 「これからの子どもたちは基礎的な知識だけではなく、その知識を使った問題解決の能力を学ぶことになる。これは社会で求められる能力と同じだ。そのために、ICT環境は極めて重要になる。紙と鉛筆だけではもはや問題解決など不可能。なぜなら情報がなければ人はアイデアが出ないからだ。私はこれらをまとめて“21世紀型能力”と呼んでいる。そしてこれは、諸外国も目指しているものなのだ」