2日目は、教員や研究者らによる約120件の研究発表やワークショップを実施した。このうち、熊本県教育庁教育政策課指導主事の溝口博史氏は、熊本県の教員を対象にした情報化リーダーの研修に、集合型研修とeラーニングを組み合わせた事例について発表した(図3)。

図3●熊本県教育庁教育政策課指導主事の溝口博史氏の研究発表。情報化リーダーの研修に、集合型研修とeラーニングを組み合わせた事例について発表した

 情報化リーダー研修は、県内の各教育事務所管内のすべての学校の担当者391人が参加している。研修は、eラーニングソフトの「Moodle」を利用して作成した独自のeラーニング教材で、「研修の目的」「教育の情報化とは」「熊本県教育情報システムの概要」「熊本県の教育の情報化の施策」などについて学習し、教育の情報化の実践に関するレポートなどを提出する。

 また、集合型研修では、模擬授業や各学校での実践についての発表・協議などを行い、リーダーが中心になって各校で実施する研修計画を立案する。各学校での課題や疑問なども、リーダー同士で掲示板で共有しながら研修を進める仕組みとなっている。溝口氏によると、eラーニングを活用した研修は受講生から高い有用感を得たという。

 大会の最後には、日本教育工学協会会長で東北大学大学院情報科学研究科 教授の堀田龍也氏が、「学びの世界を広げるICTへの期待」というテーマで講演した(図4)。堀田教授は、教育の情報化の構成要素である「ICT活用」「情報教育」「校務の情報化」の各要素について、ポイントを解説し講演を進めた。

図4●日本教育工学協会会長で東北大学大学院情報科学研究科 教授の堀田龍也氏の講演。教育の情報化の構成要素である「ICT活用」「情報教育」「校務の情報化」の各要素について、ポイントを解説し講演を進めた

 ICT活用がうまくいった事例の一つとして、「実物投影機」(書画カメラ)の活用を紹介した。実物投影機は、ICTに苦手意識を感じている教員でも、簡単に教科書を大写しして説明するなど活用でき、その結果毎時間使えるように常設を希望するようになるとした。こうした結果常設になると、ICT機器が当然の存在として「透明化」し、自然に活用が進むと解説した。

 また、「ここ10年程は『ICT活用』の授業実践が多かったが、最近は『情報教育』の授業実践が増えている。これは、1人1台持つことが話題になったり、情報モラルの問題が深刻になったりして、それをすべての先生が取り組むことができるような環境が少しづつそろい始めたからだと思う」と述べ、情報教育に対する関心が高まっていることを指摘した。情報教育関連では、中央教育審議会の議論などで、「情報活用能力の育成」を重視する動きが強まっているとし、今後導入される新しい大学入試でも「問題発見・解決力」「情報活用能力」が評価されることになるだろうと予想した。

 さらに、「『校務の情報化』は教師にとって、情報活用能力の育成の場でもある」との考えを示し、「校務の情報化が進むことは教師がポテンシャルを高めることと関係する」と語った。

 次回の全国大会は、2016年10月14、15日の2日間、佐賀市で開催する。