阿部氏は、「子どもたちのワークショップを指導するときには、グループで考えてみることを体験させることが大切。そのためには『思いついたことを積極的に発言したり、紙に書いたりするように』指導するのがポイント」と語り、各グループに「デザインシート」を配布。「アイデアがいくつもでてきたら、同じようなアイデアをまとめるなどの整理をして、デザインシートにまとめていく。ここで、その一連の流れを実際に体験して、子どもたちのワークショップでの指導に役立てていただきたい」と述べた。

「他人が勝手に開けると怒る菓子箱」などを実装

 今回の指導者研修会には、10名以上の参加者があり、5つのグループがブレストからアイデアをまとめ、実際にMESHを活用して電子工作をして発表。さらに、グループ相互で投票をして、参加者からの支持を最も集めたアイデアを表彰するまでの過程を学んだ(写真2)。

写真2●MESH電子工作に取り組む指導者

 その過程で阿部氏は、各グループに配布したデザインシートに「グループ名と作品名を決めて記載すること」の重要性も強調した。子どもたちのワークショップでは、グループでのブレストで意見を出し合うこと、それをカタチにまとめるのに考えを発言するのが苦手な子どもいる。グループとしての一体感を持たせることではグループ名を決めることが、また、アイデアが具体的にはどんなカタチをとって動き出すのかを明確にイメージさせる意味では作品名を決めることが重要な意味を持つというのだ。

 阿部氏が配布したデザインシートには、そのアイデアが「誰のための」のものか、「どんなときに」役立つのか、「どこで使うのか」「なんのための」アイテムなのかなど、グループでアイデアを検討し、まとめて、カタチにしていくまでに考えるべきポイントが分かりやすく示されていた。

 このデザインシートに沿ったかたちで発表されたアイデアの中で、ユニークだったものを紹介しよう。グループ名が「もともと」という男性2人組では、作品名「平和な生活」というアイデアを発表した。これは、家で「自分のお菓子が無断で食べられてしまうのがイヤ」という子どもための発明だ。無断で食べられてしまうことで、親子や兄弟姉妹の間でケンカでも起これば家庭での平穏な暮らしが脅かされる。その意味を込めたネーミングだ。お菓子の箱のフタの裏側にMESHを貼り付け、フタが開けられるとその動きを感知し、近くに設置したタブレット端末で写真を撮影。あわせて音やメッセージで、無断で食べようとしている人に警告するというもの。3回続けてフタが開けられると、「コラーッ」と怒鳴り声で警告する工夫が、他の参加者から評価されていた。