写真1●2016年8月10日~12日、大阪大学豊中キャンパスでICT活用教育に関する学会「2016 PCカンファレンス」が開催

 2016年8月10日~12日まで大阪大学豊中キャンパスでICT活用教育に関する学会「2016 PCカンファレンス」が開催された(写真1)。主催はCIEC(コンピュータ利用教育学会)および全国大学生活協同組合連合会。800人近くの教育関係者が集まる中、様々な講演やシンポジウム、研究発表などが行われ、活発な議論が繰り広げられた。

 今年のPCカンファレンスのテーマは「知の協奏と共創」。コンピュータを教育に活用するためには、ITエンジニアや教育の専門家、そして学習者を含めて多くの人の協奏が重要とのメッセージが込められている。こうした大きなテーマの下で、3日目のセミナーでは「小中高で身に付ける『情報力』とは」とのタイトルで、小学校から中学、高校、大学の教員がそれぞれの取り組みを紹介した。

 2020年度から順次、全面実施となる次期学習指導要領の基本方針は、「児童・生徒が『何ができるようになるか』」といった視点で議論されている。そしてこれまでの大学入試センター試験に代わって2020年度から導入される予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、高等学校と大学との連携を図る「高大接続」の観点から、思考力、判断力、表現力の育成を重視した改革が検討されている。

 こうした方針や改革の検討は、今に始まったものではなく、既に数年前から現場ではその必要性が認識され、文部科学省や総務省の施策、さらには民間企業からの支援などとも絡め、実際に取り組む学校も出ている。パネリストの一人である東京都日野市立平山小学校の五十嵐俊子校長は、同校でのタブレットなどを用いた授業について「多様な他者と協働して問題解決できる力をICTを活用しながら育てている」と説く。iPad導入など授業でのICT利活用で先行する近畿大学付属高等学校・中学校の芝池宗克教諭は、「情報力」とは「変化力」であるとし、中高がそうした変化に対応できる力を身に付ける場として、同校が取り組む反転授業などを説明した。

 また千葉商科大学の永井克昇教授は、「受け身の学びでは長続きする学力は身に付かない、主体的・能動的な学びは長続きする」と語り、そのためにICTを活用した授業スタイルがあると説明。何のためにICTを活用するのか、反転授業やアクティブラーニングとは何のためにするのか、その共通認識が重要だと述べた。

プログラミング教育の連続性をどうするか

 ただ現状、ともすればこうした学びは、例えばある特定の小学校で先行して実施されていても、児童が進学する中学校ではそうではない、といったことが起こり得る。2020年度から実施される次期学習指導要領は、まさにこうした“断絶”がないように順次、小学校から実施されるが、同じようなことは実は特定の分野で既に課題として認識されている。それが必修化で話題のプログラミング教育だ。