授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)は2019年2月21日、補償金を受ける権利を持つ団体として文化庁長官から指定されたと発表した。指定されたのは2月15日。

 2018年5月に著作権法第35条が改正され、これまで無許諾・無償の著作物複製が認められていなかった条件における授業目的の公衆送信でも、補償金制度の下で無許諾利用が可能になる。これまでは、授業のために複製した著作物を用いた教材をLMS(学習管理システム)に保存していつでも使えるようにしておくには、著作権者に許諾を得なければならなかった。

 これが法改正により、定められた補償金を支払えば、教育機関が個別に許諾を得なくても利用可能になる。LMSや遠隔授業といったICT活用教育の推進に欠かせない制度改革として歓迎される一方、補償金の金額や徴収・分配方法などは決まっておらず、教育関係者の間では不安の声も聞かれた。

教育機関が授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)に補償金を支払い、著作権者に分配する仕組み

 今回、SARTRASが補償金を徴収・分配する唯一の団体として指定されたことで、この枠組みが具体的に動き出す。同協会には新聞、出版、文芸、写真、音楽、放送の各分野から21の権利者団体が参加している。同協会の理事長で吉備国際大学大学院知的財産学研究科特任教授の土肥一史氏は、「協会は補償金の収受業務を担うだけでなく、著作物の教育利用を推進するために権利者と教育者の架け橋になりたい」と意義を語った。

 SARTRASは今後、著作物の公衆送信の実態を把握するため、小・中・高等学校、大学などに対して意見聴取と調査を実施する。そうした調査と議論の結果を踏まえて補償金の金額や徴収方法を文化庁に諮問する予定だ。スケジュールは当初見込みより遅れ気味だが、2020年4月から制度をスタートさせたいとしている。

補償金決定までの流れ
(出所:SARTRASの発表スライド)