補償金制度とは別の包括的ライセンスも提案

 SARTRASは同時に「教育利用における新たなライセンス方式(基礎ライセンス)についての提案」を明らかにした。

 今回の著作権法第35条の改正に基づいて作られる補償金制度では、例えば大学内にある教材制作部署や複数の教員が共同で作った教材をLMSに保存しておき、それぞれの授業で使うような利用方法は権利制限の対象にならない。つまり、補償金を支払えば許諾なしに著作物を利用できるという簡便な仕組みに乗ることができない。

 そこでSARTRASが提案する「基礎ライセンス」では、改正第35条による権利制限の対象とならないケースでも、補償金制度と同じような簡便で合理的な仕組みにより、教育現場での許諾取得の手間を減らすことを目指す。

改正著作権法第35条による権利制限の対象とならない部分についても、補償金と同じような制度で著作物の利用推進を提案した
(出所:SARTRASの発表スライド)

 SARTRAS常務理事の瀬尾太一氏は今回の提案について、「著作物を利用した教材などを共有できるようにすることで活用を進めていこうという議論があり、権利者側も積極的に使ってもらおうという意見が出ている」と説明する。

 ただし、「実現にはさまざまな課題があり簡単ではない」(瀬尾氏)としている。基礎ライセンス構想の実現可能性は未知数だが、協会としては教育現場の声に配慮する姿勢を見せたと言えるだろう。