浅野氏によると、前述の課題解決能力や付加価値を生む力を持った人材の開発とは、「決して少数のエリートやリーダーを作ることではなく、国民一人ひとりがさまざまな分野において“50センチ革命”を起こす力を育むこと」だという。そのための課題として、目的と手段が逆転している現状の学習方法、学習の非効率や画一性、何でも自前で抱え込む“大きな学校”の限界などが挙がった。これらの課題をEdTechで解決するための議論が研究会でなされ、2018年6月4日には取りまとめ案が示されるという。また、経済産業省は「学びと社会の連携促進事業」として平成29年度補正予算額で25億円を確保して委託事業を進めるとしている。

これからの社会に必要な人材=チェンジメーカーのイメージ
(出所:浅野氏のスライドから)

ICT環境整備の予算確保に鋭い指摘も

 展示会3日目、5月18日の特別講演「これから始める自治体と学校のための『ICT導入と活用術』」には、信州大学の東原義訓教授が登壇した。冒頭から、スマホを使って投票結果をリアルタイムで集計できるサービス「Mentimeter」を使って来場者と双方向でコミュニケーションを取りながら講演を始めた。

学校におけるICT環境整備のポイントを説明した信州大学の東原義訓教授

 東原氏が来場者に困っていることについて聞いたところ、「予算の確保」が多かったため、公立学校でのICT環境整備に必要な予算の取り方についてアドバイスをした。東原氏は、「自治体の予算が乏しいから学校のICT環境整備ができないという話になりがちだが、2014年から2017年にかけての地方財政措置は6~7割しか使われなかったのではないか」と問題を提起した。地方自治体がきちんとした整備計画を立てて予算化をすれば、パソコン・タブレットや大型提示装置といった教育用ICT機器の充実を諦める必要はないというわけだ。

 さらに、文部科学省が学校におけるICT環境の整備方針を2017年12月に定めたことにより、「地方自治体ごとの標準的な水準における行政に必要となる一般財源である基準財政需要額にICT環境整備が含まれるようになったと考えられる」と指摘。これにより「自治体の財源が乏しいから予算が確保できないという論理は成り立たず、それを補填する地方交付税を活用してICT環境整備を進めるべき」と述べた。