広島大学情報メディア教育研究センター准教授の隅谷孝洋氏は、同大学の情報メディア教育研究センターにおける著作権処理の支援サービスを紹介した。教員が作成した教材について、著作権法違反がないかチェックをしたり、著作権者から許諾を取ったりするのには労力がかかる。同センターが教員に代わって著作権上問題がありそうなコンテンツを見つけて確認し、可能であれば許諾を得ることでリスクを回避している。
教職員のセキュリティ教育に新たな取り組み
もう1つのリスクである情報セキュリティについては、横浜国立大学教授で情報基盤センター長の田名部元成氏が、2018年度に実施する教職員向けの教育実証実験について発表した。
まず、田名部教授は教職員の情報セキュリティ研修の必要性について、「高度化するサイバー犯罪に対して迅速に対応する必要がある一方で、技術的な対策には限界がある。組織的対策としては、教職員1人ひとりの意識向上が求められる」と説明。そのために、「なぜセキュリティを守らなければならないかを理解することが前提で、その上で教職員が無理なく継続できる情報セキュリティ研修を考えた」という。
教職員向けのセキュリティ研修実証実験では、まずメールやグループウエアを通じてインシデント情報を教職員に配信する。これでセキュリティに関心を持ってもらい、LMSに誘導して最新のサイバー犯罪手口や対策方法を学んでもらう。学習内容は小テストでチェックでき、さらに深く学ぶために、クラウド型教育コンテンツサービス「日経パソコンEdu」のセキュリティ関連記事を参照できるようになっている。「LMSでは誰が何を学んだか、外部のコンテンツを参照したかといった情報を得られるため、こうした方法に効果があるのか、適切な教材がどんなものなのかといったことが研究できる」(田名部氏)という。