首都大学東京 経済経営学部准教授の水越康介氏は、紙の教科書と電子化した教科書を併用した授業事例について発表した。従来の教科書と電子版のセット、電子版のみ、紙の教科書のみの3種類を用意したところ、紙・電子バンドル版と電子版のみの購入者がほぼ半々になった。

首都大学東京の水越康介氏
首都大学東京の水越康介氏
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 授業中にどのメディアを読んだのかを調べると、授業中では「紙をとても使う」学生が約4割と多かった。逆に、自宅だと紙では読まず、「スマホ(電子教科書)をとても使う」と答えた学生が7割に達した。水越氏は「自宅で電子書籍は読まないだろうと思っていたので予想外だった。授業中は、無線LAN環境やバッテリーを気にしているのではないか」と推測している。

紙の教科書とその電子版を併用した場合、自宅で紙の教科書を開く学生はほとんどおらず、大半がスマホを使っていることが分かった
紙の教科書とその電子版を併用した場合、自宅で紙の教科書を開く学生はほとんどおらず、大半がスマホを使っていることが分かった
(出所:水越氏の講演スライド)
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各講師の発表後には、学生からの意見発表や、聴講した教員らを交えての討議があった
各講師の発表後には、学生からの意見発表や、聴講した教員らを交えての討議があった
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学生の意見も分かれる電子教科書

 セミナーには、電子教科書を使って勉強している首都大学東京と九州工業大学の学生たちも参加し、意見を述べた。電子教科書で良いと感じているのは「かさばらず持ち運びが楽」「気軽にメモを書き込める」「マーカー機能により、みんなが重要視しているところが分かる」といった点だった。ほかの学生がページ上でマーキングしたことが分かるため、「みんなここが大事だと思っている」「ここはほかの人も分からないのだ」といった情報が共有できるのは、デジタルならではのメリットだ。

 電子教科書の使いにくい点については、「パソコンやスマホのバッテリー消費が気になる」「デバイスによっては文字が読みにくかったり、書き込みづらかったりする」などの指摘があった。