2018年8月24日~26日に熊本大学で開催されたICT活用教育に関するイベント「2018 PC Conference」では、分科会、ポスターセッションともプログラミング教育に関する発表が多かった。

 中でも目立ったのは、英BBCが開発したボード型コンピューター「micro:bit」を使った授業実証の発表。ボード上のLEDを光らせたり、加速度を検知して動作を変えたりといったIoT的なプログラミングを手軽に体験できる。パソコンの画面上で表示が変わるといった動作に比べ、物理的な“モノ”を動かす面白さがあると同時に、身の回りにあるプログラムで動く製品と結び付けて教育的な指導がしやすい。2018年6月には、ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)が全国の小学校と教育委員会100団体に計2000個のmicro:bitを無償で提供すると発表して注目された(後に提供先を200団体に拡大)。

micro:bitはARMアーキテクチャーのSoCを中心に、5×5個のLED、光・加速度・方位などを計測できるセンサー、Bluetoothなどの通信機能を約5×4cmのボードに搭載する。価格が2000円程度と安いのも特徴だ

 熊本高等専門学校が発表した「フィジカルコンピューティングを志向した小学生を対象とするプログラミング教育の実践」では、小中学校での授業研究活動への協力を視野に入れたプログラミング教育活動が紹介された。活動の中で目指したのは、「パソコンの中だけでないモノづくりの楽しさを体験できること、単に楽しいだけでなく計測・通信・制御などの基本的な役割に触れること」(熊本高等専門学校 電子情報システム工学専攻教授の小山善文氏)だという。そのため、教材としてmicro:bitを使い、公開講座や出前授業などでプログラミング教育を実践している。小山氏は「今後は小学校の先生や教育委員会と協力して熊本発のプログラミング教材の開発をしたい」と語った。

熊本高等専門学校は公開講座、体験会、小学校の出前授業などを通じて、micro:bitを使ったプログラミング授業を実践している
(出所:小山氏の発表スライド)

 このほかにも、電気通信大学 教育研究技師部 学術技師の笹倉理子氏は、同大学が高大接続教育の一環として実施している高校生向けプログラミング体験授業において、micro:bitを利用した実践の結果を報告した。お茶の水女子大学では、主に小学校教育課程の学生を対象としたプログラミングの授業を実施し、その中にmicro:bitも取り入れているという。千葉商科大学 政策情報学部政策情報学科教授の箕原辰夫氏は、micro:bitでMicroPythonを動かして授業を実践した際の技術的な詳細を報告した。また、カンファレンス初日の夜に開かれたワークショップでは、これからプログラミングを教える立場の教員向けに、micro:bitを使ったプログラミング体験会も開かれた。

電気通信大学 教育研究技師部の笹倉理子氏とお茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科教授の浅本紀子氏は、ワークショップ「micro:bit ではじめるマイコンプログラミング」を開催
参加した教員らは、micro:bitでLEDにアイコンを表示させたり、スピーカーをつないで音を出したりといったプログラムを作成した。パソコンなどで作成したプログラムをUSB経由で送り込む