方眼紙にプロットする体験が重要

 SASによる親子でテータサイエンスの開催は、今年で3回目。社会貢献が目的で、社員はボランティアで参加しているという。同社の堀田徹哉代表取締役社長は「最初は手探りで始めたが、実際にやってみたらとても興味を持ってもらえた。参加したお子さんの目が、時間が経つにつれ輝いていく」と話す。

SAS Institute Japanの堀田徹哉代表取締役社長。米SAS Institute副社長 日本・韓国地域統括も兼ねる

 自社が手掛けるデータ分析ツールは、このイベントではあえて使わない。データを1つひとつ方眼紙の上にプロットしていったら、きれいな直線が見えてきた――。そんな原体験から、数字や統計に対する興味が湧いてくるからという。AI(人工知能)が脚光を浴びる中で「AIが何でも答えを出してくれるわけではない、ということも分かってほしい。データ分析を自ら体験することで、ブラックボックス化せずに過程が理解できる」(堀田社長)。

 子供向けのイベントながら、ビジネスでのデータ分析に通じる学びも得られるという。それは「事前のデータ準備を怠ったチームは、良い結果が出ない」(堀田社長)こと。企業でのデータ分析プロジェクトでも、「時間の7~8割を、データの準備に費やしている。データ準備の重要性を理解することも、データサイエンティストのキャリアにとってはとても大事だ」(同)。

 データ分析や統計は、小学校の学校教育でも強化される方向にあるという。イベントにゲストとして参加した文部科学省 国立教育政策研究所の佐藤寿仁学力調査官・教育課程調査官は、「データを整理して傾向を捉えるだけでなく、それを批判的に考察することが新学習指導要領には盛り込まれている」と説明する。データを基に導き出された結論が本当に正しいのか、別のデータや分析方法はないのか、といった検証や改善を重ねる力が、今後の子供たちには求められていくという。

イベントにゲストとして招かれた、文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 研究開発部の佐藤寿仁学力調査官・教育課程調査官