中学・高校のプログラミング 今後は内容の幅も量も充実

 プログラミング教育の導入は今回が初めてという報道も見受けられますが、それは間違いです。中学校と高等学校では既に導入されているのですが、あまり知られていないのが実情です。というのも、中学校では技術・家庭の技術分野の「情報に関する技術」で、ほんの少しプログラミングを教えているにすぎないからです。

 しかも、技術分野なので、ロボットなどを制御するプログラミングを教えていますが、実際の社会ではWeb関連のプログラミングの方が圧倒的に多いのです。情報技術が産業を支えているのに、それを十分に教えられていないという反省があります。

 そのため、産業ロボットに特化したものでなく、Webコンテンツなどに関するプログラミングを指導内容に盛り込み、プログラミングに割く時間を増やすことになっています。高校の新学習指導要領はまだ検討中ですが、情報科に共通必履修科目を新設し、文系・理系に関係なく全ての高校生がプログラミングを履修することが決定しています。

 中学校・高校は従来の教科の拡張なので、議論もスムーズに進みました。しかし、小学校はどうするか。情報を専門的に教える教科はなく、各教科の中で行うことになっています。さまざまな意見がある中、文部科学省では「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」を設け、私が座長として検討することになったのです。

小学校では専門家は養成しない 経験で理解のモノサシを獲得

 有識者会議で議論されたのは、例えば「音楽でリコーダーを吹くけれど、だからといって音楽家を育てようとしているわけではない」ということです。自分でリコーダーを吹いて演奏してみると、演奏するってこんなに面白いとか、難しいということを体験できます。

 体育の鉄棒もそうです。大人になって、鉄棒を続ける人はそうはいません。素晴らしい演技をしている体操選手を見ることで、自分ではできなくても、どのくらいすごいことなのか、子どもたちは体育で経験しているのでモノサシを持っている。義務教育は、特定の道に進む専門家を養成するわけではなく、社会を理解するモノサシを得るために学んでいるのだと思います。