クリエイティブな形で協力しながら発信する体験を

 Scratchでの作品づくりは、コーディング技術の向上にも役立つ。「もちろんコーディング技術は重要だ」とレズニック氏は語りつつも、「Scratchユーザーに対しては、技術を身につける以上の学習結果を求めている」と続けた。

 「コーディングやプログラミングの授業で求められるのは、正誤だけ。たとえふさわしい作品をつくったとしても、その後も常に効率を求め、正確で安定性の高いシステムの追求が要求される。そういった点も重要だが、むしろ私は、子どもたちに対して、自らのプロジェクトに関心を持ち、それをクリエイティブな形で、協力し合いながら発信する体験を求めている」(レズニック氏)

写真3●「自らのプロジェクトに関心を持ち、それをクリエイティブな形で、協力し合いながら発信してほしい」

 ユーザーの中には自分よりも幼い子どもに、Scratchを通してコーディングを教えるクラブを始めた人もいる。このようにアイディアや技術を、大きなコミュニティの仲間と共有できる体験は、従来のプログラミング教室とは異なる点だ。Scratchをオンラインで展開している理由は、「ともに学習できる」という考えも含まれているとレズニック氏は説明した。

 Scratchで学ぶ子どもたちの中には、高度な技術を持っていながら、「将来、プロのプログラマーになるかはわからない」と考えている人もいる。これに対してレズニック氏は、前述の考え方に基づき、「彼らがプロになるかは気にならない」と語った。なぜならScratchが目指しているのは、子どもたちにプログラミング技術を習得させ、業界に役立つプログラマーを育成することではないからだ。レズニック氏は「子どもたちが考えていること、それを仲間と協力しながら作品に変換する能力は、彼らの将来にとって有益だ」と解説した。