増加するインターネット利用率、世界の子どもたちに求められるスキルとは

 1969年にテクノロジーの一つとして誕生したインターネット。ビジネス分野に活用されて以降、次第にセキュリティが重視され始め、今ではそれ自体がビジネスとして成り立っている。2000年代からはユーザーのニーズに合わせてスマートフォンや電子通貨、TwitterやIoTなどの技術が誕生し、そこから収集された膨大なデータは、さまざまな技術の発展に貢献している。

 このように、テクノロジー、ビジネス、セキュリティ、ユーザー、データと、時勢に応じて形と規模を大きく変えていくインターネット。近年になって重視されているのはプライバシー保護を担保するトラスト(信頼性)であると村井氏は説明する。しかし、この先の時代でどのような機能やサービスが求められるかは不明だ。

「インターネットの流れは急激に変化していて、予測がしにくい。これからの子どもたちはインターネットの中で生きる力を身につける必要がある」と述べる村井氏。続けて、「この『生きる力』こそ、Scratchのコミュニティが目指していかなければならないものだ」と説明した。しかし、それが求められるのは、日本やアメリカなどの先進国に生まれた子どもたちだけではない。

 全世界のインターネット普及率が50%超えた現在、先進国ではインターネットユーザーの増加が頭打ちになりつつある。その一方で、アジアでは50%、アフリカでは60%以上の人間がインターネットに触れておらず、成長の余地は大きい。

「インターネットの普及率が低い地域では、デジタルデバイドが発生しかねない。しかし、そのような地域に集中してデジタルデバイドの解消を進めることにより、2020年には世界のインターネットユーザー数は80%までに成長するだろう。つまり、あと数年でほぼすべての人類がインターネットにアクセスする時代を迎え、私たちはそのなかで未来を議論する必要がある。これがインターネット文明時代だ」(村井氏)

 とはいえ、人々が生きているのはグローバルなインターネット空間だけではない。国ごとの文化や言語、ルールによって成り立つ実空間も、当たり前ではあるが存在している。村井氏は「ここが非常に重要だ」と指摘した。

「インターネットはグローバルな社会を作ったが、実際のところ、その社会は国ごとによって分かれている。すべてがつながるインターネットと、各国ごとに異なるレギュレーション。この二つをどうやって組み合わせていくのかが、インターネット文明時代を生きる私たちの社会の在り方だ」(村井氏)

 村井氏は、「このような問題を、多言語化や標準化によって解決し、文化のダイバーシティをいかに構築するかが私のライフワークだ」と語った。日本というレギュレーションに関しては、近年ではWeb上で縦書きレイアウトの標準化を実現している。