Scratchユーザーの男女比率は半々、コミュニケーションは女性が多い

 パネルディスカッションでは会場の客席からも質問を受け付けた。まず上がったのは「Scratchはコンピュータサイエンスにつながるものか」という問いかけだった。コンピュータサイエンスは、コンピュータの基礎や応用を研究するものだ。Scratchは子どもたちにとって、コンピュータサイエンスを学ぶツールになり得るのだろうか。

 「コンピュータサイエンスには可能な限り応えていきたいが、Scratchの開発目的はプログラミングを通した自己表現だ」とレズニック氏は答え、「そのためには、ローフロア(低い床)、ワイドウォール(広い壁)、つまり入口は簡単に、できることは幅広く、ということを重視している。参入しにくくするバリアとなってはいけない。それがScratchのコンセプトだ」と続けた。

 続いて、ジェンダー、つまりScratchを使う男女比に質問が飛んだ。これに対してレズニック氏は、「Scratchはスクラッチコミュニティで開発しているが、そのなかで重要なのは多様なバックグラウンドを持つ子どもたちがアクセスできることである」と回答した。そもそもジェンダーの問題に関しては、「(Scratch開発の)最初の段階から配慮している」と答え、次のように説明した。

「Scratchのデザインを考えるときには、男女を問わず楽しんでもらえることを重視した。性別やバックグラウンドの違いを問わず、すべての子どもたちにScratchを利用してもらいたいからだ」(レズニック氏)

 レズニック氏は現在のScratchユーザーの割合について、「45%が女の子」であると明らかにした。プログラミング業界では男性多数の傾向があるようだが、「Scratchに関してはストーリーテリングやメディアの使い方、オンラインでの対話を活用することで、ユーザーの垣根をなくしていきたい」とレズニック氏は言う。

 続けてレズニック氏は、男性と女性のユーザーの傾向に言及し、「コミュニケーションに対するアクティブさが異なるようだ」と解説した。実際、作品を作るユーザーの男女比率はほぼ半々(フィフティフィフティ)であるのに対し、ほかのユーザーに対するコメントは女性のほうが多いという。その数は男性の2倍だとする。

「作品を作るユーザーにとって、社会的なフィードバックをもらうことは重要だ。ほかのユーザーから評価されることが、次の作品を作ろうという気持ちを促す。そういった点では、コメントの量で男女差が出るのは面白い」(レズニック氏)