ギヤの原理

図5●工作用の小さな直流モーターの例

 1.5~5V程度の工作用の小さい直流モーターを使って物を動かそうとしても、動かせる重さには限界があることは経験的にも直感的にも理解できると思います(図5)。今回製作するロボットの場合、モバイルバッテリーなどいろいろなものを載せると総重量が1kg程度になります。乾電池で動く小さいモーターで、1kgの砂糖袋を動かすと考えれば、力不足であることは容易に想像できると思います。

 そこで、ギヤの登場です!

 身近なギヤといえば、変速式の自転車が思い浮かびます。自転車のギヤはペダルを回す力で回ります。ペダルを重く設定するとペダルの1回転で長い距離を移動できますが、ペダルを軽くすると同じ距離を移動するのに何度もペダルをこぐことになり面倒です(図6)。

図6●変速式の自転車のギヤ

 しかし、坂道などでは軽いペダルで前進できるので楽です。つまり、少しの力で重いものを運べるわけです。ただし前進するスピードは落ちます。このようにギヤを回す力(ペダルを回すために必要な力)とギヤが回るスピードにはトレードオフの関係があります。具体的にはどのような関係にあるのかもう少し詳しく見てみましょう。

 ギヤは歯車の組み合わせで構成されます。例えば、歯数が2倍違う歯車を組み合わせた場合(歯車Bが歯車Aの2倍の歯数)、Aが2回転するとBが1回転します(図7)。このときAを100g持ち上げられる力で回すと、Bでは200gを持ち上げられます。歯車Bの回転数(回転スピード)は歯車Aと比較して半減しますが、駆動力は倍増するわけです。つまり、小さい歯車から大きな歯車に駆動力を伝達すれば、回転数(回転スピード)と引き換えに、弱い駆動力を大きな駆動力に変換できるのです。

図7●ギアの仕組み

 この仕組みを利用すれば、モーターが歯車Aを駆動する力を倍増させて、タイヤやキャタピラーが付いている歯車Bを回せます。ギヤを使えば、モーターの力が弱くても重いロボットを動かせるのです。これは好都合です。