これらの意見から、生徒は板書を書き取る際には紙のノートの使用が圧倒的に多く、要所要所でiPadを活用していることが分かる。教員の一人は、「生徒は賢い。授業を受ける“プロ”なので、その場その場で一番よいと思う使い方を選択している」と語る。

 紙と鉛筆には多くの利点があり、生徒は使い慣れてもいる。学習の基本の道具としてはこれからも使われ続けるだろうが、生徒の使い方を見ていると、iPadの方が紙と鉛筆よりも向いている場面もある。そのような場面で活用を進めることが、タブレット学習の第一の課題と言えるだろう。

タブレット学習に向く教科と向かない教科はあるか?

 タブレット学習が向いている教科、向かない教科はあるのか。現在、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長/ICT CONNECT 21(みらいの学び共創会議)会長で、白鴎大学の教育学部長などを務めた東京工業大学名誉教授の赤堀侃司氏は、紙・パソコン・タブレットは、それぞれのメディアの特性によるメリットがあると指摘する。赤堀氏が公表した研究成果によると、それぞれの特性は次のようになる。

紙:文章を思い出しやすい、下線を引きやすい、文章を読みやすい、概要が分かりやすい、図形が数えやすい、形がイメージしやすい、疲れにくい、学習したと実感しやすい

パソコン:図形が数えやすい、形がイメージしやすい、文章入力が速い

タブレット:形がイメージしやすい、写真が数えやすい、写真を思い出しやすい、写真のイメージを思い出しやすい、色を思い出しやすい、退屈しない

共通:図形が数えやすい、形がイメージしやすい

 これらを見ると、紙は基本的な学習に自在に使いやすい一方、パソコンは文字入力が速いといった特性が他とは異なる。タブレットは、図形や写真、色などのビジュアル的な要素を使った学習時に威力を発揮し、楽しく退屈せずに学習できる特性があるため、学習場面ごとでの使い分けが大切であることが分かる。

 こうした特性を鑑みると、タブレット学習に向く教科、向かない教科があるというよりは、タブレットに向く学習場面や向かない学習場面があるということがイメージできる。タブレット学習では、映像で見た方が分かりやすい図形学習や、反復学習などにおいて力を発揮する。一方、文章力を高めたり、読解力を身に付けたりといった場面においては、紙と鉛筆の学習がおろそかにできないことが分かる。