コンテンツ不足については、「コンテンツはなくてもいい。教員が写真1枚からでも自由に使える環境があればいい」と切り出し、研修については、「研修が必要なものは流行しない。教員が使いたいと思わない」と一刀両断。「苦手な教員でも必ず使える環境を作ってさえあげたら使うだろう。研修のいらない仕組みが学校のICT化には必要だということを、絶対条件だと感じていた」(工藤氏)と述べる。この点について工藤氏は、「自然に深いところまで学んでいく環境を作ろう」といった考えが背景にあったという。

 教員が自発的に使い、深いところまで学べる環境が出来上がり、日常の授業で使われるようになった段階で、「これは面白い」と思うコンテンツ/ソフトウエアを教員がこだわりを持って選ぶことが大事だと工藤氏は指摘する。

 新宿区教育委員会でのICT化の取り組みに続き、現在、工藤氏が校長を務める麹町中学校の取り組みについても紹介した。学校は人材育成の場であり、生徒が自立して学ぶ力を身に付けるためのキーワードとして工藤氏は2点挙げた。「フレーム」と「他者を意識する」ことである。前者のフレームは、「型みたいなもの」だとし、その一例として、A4の方眼ノートを使って授業を受ける同校のスタイルを説明した(写真2)。

写真2●千代田区立麹町中学校で活用しているA4方眼ノートの基本フレーム

 ノートに板書を書き写すだけでなく、自分の思考を整理するツールとしてノートを活用している。導入当初、生徒は戸惑っていたというが、現在は「フレームがあるので迷わず自分の言葉で書き込んでいく。自分の思考が整理される」(工藤氏)とその効用を説明。さらに「後から振り返りたくなるノートじゃなかったら何の意味もない。書くには意味がある。後で見返す。書くときに見返すことを意識して書くようになる。これが自律。これを繰り返すことで自分の学びになり、自分自身の行動スタイルとなる」と工藤氏は説き、こうしてフレームは、紙がICT機器に代わったとしても、自ら学んでいく基礎になるとした。