LTEタブレット導入の古河市、小さく始めて大きく育てる

 麹町中学校の工藤氏に続き、茨城県古河市教育委員会 教育部指導課の平井聡一郎参事兼課長が登壇し、古河市の教育のICT化について具体的に説明した(写真3関連記事1関連記事2)。

写真3●茨城県古河市教育委員会 教育部指導課の平井聡一郎参事兼課長(右)と“エバンジェリスト”の小学校教諭

 古河市は2015年9月からLTE対応のタブレットを導入し、小学校の授業での活用を始めている。導入に当たっては各教室に無線LANを整備することも考えたが、予算や人的リソースの問題があったという。一般的に学校のICT化と言った場合、その費用対効果として「学力の向上」が求められる。古河市の場合も、もちろんこの点は大事だが、まずは「稼働率」を高めるとの視点に立った。「使ってもらえる。そこがスタート」だと平井氏は述べる。

 稼働率を高めるということは、いつでも使ってもらえる、すなわち“止まらない”システムを構築することでもある。そこで採用されたのが、携帯電話事業者のネットワークで通信できるLTE対応のタブレット、そして学校にサーバーを設置しなくてもよいクラウドサービスだった。「“WANT”から“MUST”を抽出し、全体構成を決めた。全校に無線LANを整備できない事情もあったが、無線LANでできなかったことが(LTEでは)できる。フルクラウドの環境で、児童はいつでもどこでも活用できる」(平井氏、写真3)。

 2015年9月時点では、タブレットをグループに1台割り当て、授業での活用を広げていく通常整備校と、児童1人1台のタブレットを用意して教科ごとの指導にも取り組む重点整備校に分けて、導入を進めた。さらに「人も大事。ICT支援員が雇えなかったため、自前の教員を支援員にするエバンジェリスト制度を作った」(平井氏)。

 「エバンジェリスト」は、ICT化の“伝道師”であり、エバンジェリストに選ばれた教員は、10台のiPad、無線LAN機器、プロジェクターをセットで持っており、これらを授業などで自ら活用しながら、ICT化の効用などを広める役割を担う。平井氏は、「今年は(エバンジェリストが)15人、来年も15人(増える)。点が面になる。市全体に広がる。小さく始めて大きく育て、無理なくやっていく」と古河市のICT化の特徴を表現した。

 その後、エバンジェリストである小学校の教諭が、朝の会や修学旅行でタブレットを活用している事例を紹介。その後、ロイロノート・スクールを使った来場者が参加する模擬授業を実施した。L字型の面積を求める算数の授業を想定し、参加者の解き方を分類して色分けし、ネットワークを介して一覧で確認できるといった機能を実践(写真4)。ロイロノート・スクールの授業での活用を来場者が体験して、午前のセッションは締めくくられた。

写真4●ロイロノート・スクールを使って算数の模擬授業を実施