全グループが「既読無視」をテーマに選ぶ

 シナリオは、トラブルが発生しているテーマをストーリー仕立てにしたもの。各ストーリーは15分程度で完結する。途中の選択肢いかんで、最後が「ハッピーエンド」になったり「バッドエンド」になったりする。生徒は選択肢を前にグループ内で議論しながら、ストーリーを自らの選択で変えていき、ハッピーエンドを目指す(写真2)。

写真2●ゲームの途中で選択肢が表示され、この選択いかんでストーリーが変わっていく

 テーマは5つあり、それぞれのテーマに対して以下の10個のストーリーがある。

  • 「ネット炎上」のテーマには「不適切投稿」「炎上事件への対応」の各ストーリー
  • 「出会い・交際」のテーマには「異性との出会い」「児童ポルノ」の各ストーリー
  • 「ネット依存」のテーマには「長時間利用」「利用料金」の各ストーリー
  • 「ネット犯罪」のテーマには「架空請求」「アカウント乗っ取り」の各ストーリー
  • 「ネットいじめ」のテーマには「言葉の勘違い」「既読無視」の各ストーリー

 今回の授業では偶然だが、いずれのグループも「ネットいじめ」のテーマの中から「既読無視」のストーリーを選んでいた。LINEでメッセージをやり取りする際、メッセージを送った相手が実際にメッセージを確認したかどうかが分かる。確認済の場合は「既読」と表示されるが、相手の反応を求めるようなメッセージに「既読」が付いたにも関わらず一定期間反応がない場合、メッセージを送った側は「無視された」と感じてしまう。

 全グループがこうした「既読無視」を選んだということは、中学生にとって「既読無視」がいかに切実で身近な問題なのかということを示している。実際の授業では生徒4~5人が1グループになり、「たまボク」がインストールされた米アップルのタブレット端末「iPad Pro」を各グループに1台割り当て、生徒はiPad Proを囲みながら、「たまボク」に取り組んでいた(写真3)。なおiPad Proは千葉大学が授業のために用意したものだ。藤川教授は授業でタブレットを利用することについて、「こうした皆で顔を突き合わせて操作するようなアプリを使う場合は、タブレットが向いている」と語る。

写真3●iPad Proを囲みながら「たまボク」に取り組む千葉大学教育学部付属中学校の生徒