「ハッピーエンド」が大事なのではない

 最適な選択をしていくと最後は「ハッピーエンド」で終了するが、「ハッピーエンド」の難易度は高い。「ゲームとしては全てベストの回答を選ばないと『ハッピーエンド』にはならない」(藤川教授)。生徒はハッピーエンドを目指して思考錯誤しながら、時に意見を戦わせながら「たまボク」を進めていた(写真4)。一度ゲームを終えたがハッピーエンドに至らなかったグループは、再度ハッピーエンドになるまで取り組むグループや、あえて「バッドエンド」を目指して最も不適切な選択に挑戦するグループもあった。

写真4●ハッピーエンドを目指して思考錯誤しながら、時に意見を戦わせながら「たまボク」を進める

 各グループのゲーム終了後、各生徒はワークシートに感じたことまとめ、皆の前で発表した。「自分で考えて行動することが大事」「自分のことだけを考えたら解決しない」「相手の立場に立ってコミュニケーションをとることが必要」「一度失った信頼を取り戻すのは難しい」「時には妥協することも重要」といった感想が並び、藤川教授が「自分の考えが大事」か「妥協が大事か」を生徒に問うなどして、授業は終了した。

 藤川教授はこうした授業、そしてアプリの狙いについて次のように語る。

 「正しい答えに行き着くことが大事なのではなくて、『それなりに問題解決は難しいし、何かしておけばいいという単純な問題じゃない』ということが伝わるといいな、との思いから、かなりややこしい設定にしています。『何が正しいか』というよりも『その場できちんと考える』、そして場合によっては、生徒は『妥協』と言ってくれたけれども、『自分の意見と少し違うけれどもここだけはこうしてみよう』ということが必要かもしれないし、一方で『それ(妥協)ばかりだとまずい』といったことも学んでもらえるといいかな、と思っています」

 また、あえてバッドエンドを目指したグループもあったが、藤川教授は「よろしくないことについても、子供たちの気持ちの中には存在するもの。そういうものをいい形ではきだしてもらって、『変なことをするとこうなるんだ』ということを理解した上で、リアルな生活で気をつける。そうした教育効果が望めるかなという期待もある」と述べる。

 今回の授業では生徒が発表した意見を聞いていると、こうした藤川教授の狙いは伝わったようだ。