スマホ利用時間制限は有効か

 代表的な対策の一つに、県や市単位などによる小中学生を対象にした携帯電話・スマートフォンの利用時間制限がある。2014年4月に愛知県刈谷市が午後9時以降の児童・生徒のスマートフォン・携帯電話の利用を禁止としたことをきっかけに、全国的に利用時間制限を設ける動きが広まっている。SNSによるトラブルやいじめ、生活習慣の乱れを回避することを目的に始まったものだ。

 刈谷市では、学校現場からの声をきっかけに、市内の全小中学校が保護者と連携して、(1)午後9時以降はスマートフォン・携帯電話を親が預かる、(2)必要のないスマートフォンや携帯電話を持たせない、(3)有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングサービスを利用する――という3点からなる提言をまとめた。この取り組み開始後、同市の中学校では、規制に「賛成」が48.6%、「反対」が10.3%、「どちらとも言えない」は40.3%だったという。規制後の変化は、「勉強に集中できる」「睡眠時間が増えた」など評価する声が上がったそうだ。

 神奈川県横浜市でも、規制ではないものの全市立学校の保護者向けに、(1)家族のいるところで使う、(2)食事中は使わない、(3)午後9時以降はメールなどをしない――と明記したパンフレットを配布。そのほか、宮城県仙台市、福岡県福岡市、鳥取県米子市、山口県下関市、広島県広島市、静岡県、岡山県、香川県など、多くの市や県で児童・生徒のスマートフォン・携帯電話の利用について制限を設けるなどしている。

 こうした施策は、“やめどき”が分からずにやめられなかった児童・生徒に、やめる口実を与えることになるため、万能ではないにせよ、生活改善などの一定の効果は期待できそうだ。

授業中にスマホを利用する例が多発

 学校でスマートフォンやSNSについて、どのような指導がされているのだろうか。そもそも、スマートフォンなどを持つことそのものを原則禁止している学校は多い。必要な場合は保護者がその理由などを記述した書類を提出・申請する仕組みだ。私立学校などは通学時に公共交通機関を使うことが多いため保護者からの要請も多く、所持を許可しているところも多い。だが、校門を入ったところでスマートフォンなどを預かり、帰宅時まで使えないとしているところが多いようだ。

 それにもかかわらず、授業中でも隠れてLINEやTwitter、メール、ゲームなどをする生徒が増えてきている。「授業中にスマホが鳴り、授業が中断される」といった状況も発生しているという。実際、生徒はいかに授業中にスマートフォンを利用するかに知恵を絞っており、机の下や教科書に隠して見るほか、「スマホを電子辞書カバーや大きい筆箱に入れて隠して見る」「ティッシュボックスを立てて隠す」「スマホを入れたまま操作できるポーチや筆箱を用意」など様々な方法が挙がっている。

 学校側もやむなく対応を始めている。例えば、自主性を重んじる校風で知られる麻布中学・高校では、「電源を切ってカバンにしまう」ことがルールとして定められている。灘中学・高校でも、「授業中にスマートフォンを使ったり、鳴ったりしたら教師が没収し、保護者に返却する」というルールが定められた。学校で利用する生徒が多発したため、それまで校則などで定められることがなかったスマートフォンにルールが定められるようになってしまったのだ。