2016年2月2日、国立新美術館にて第19回文化庁メディア芸術祭の内覧会が開催された。アート部門 大賞には「50 . Shades of Grey」が受賞。作品は短いプログラムコードがプリントされて額装されたものだった。一般公開は2016年2月3日から2月14日まで。

 文化庁メディア芸術祭は今年で19年目となる。メディア芸術とは伝統的な絵画や彫刻などとは異なり、より新しい芸術の表現形態を指している。デジタルテクノロジーの要素が含まれていたり、現代の日常レベルで普及した表現などが受賞作品に並ぶ。近年ではアート、エンターテイメント、マンガ、アニメーションの4部門で構成されている。

 過去には新しく出た家庭用ゲームソフトや斬新なWebサイトが受賞することもあった。ITでなじみ深いものとなると、Googleのストリートビューやインスタグラムを活用した作品もあった。前回(第18回)エンターテイメント部門ではスマートフォンの位置情報を用いたゲーム「Ingress」が大賞するなど、先進技術的な要素に加え、新しく、親近感あるものが受賞することが多い。

 今年アート部門で大賞を受賞したのはグラフィックアートの「50 . Shades of Grey」。作品の前に立つと6つの額が目に入る。6種類のプログラムコードがプリントされて額装されている。プログラムコードなので当然中身は文字である。絵でも写真でもない。これがアート部門の最高峰となる大賞を受賞したと知ったときは目を疑った(しかしITにかかわるものとしてうれしくもあった)。

作品は短いプログラムコードがプリントされて額装されていた

 ソースコードは6種類、6つの言語で書かれている。いずれも処理は同じ。同じ結果が出る処理を6種類の言語で書き分けたことになる。使用した言語はBasic、Fortran、Pascal、LISP、Lingo、ActionScript。

 コードが表現するものはとてもシンプル。画面に黒から白へ、50段階のグラデーションを描くというものだ。どれも繰り返しの処理で色を段階的に変化させている。どのコードもそう長くない。数十行程度で収まる。だから額装しても十分中身が読めてしまう。

 ソースコードが額装された壁の裏側に回ると、6台のディスプレイが設置されている。画面にはそれぞれのソースコードを開発環境で表示したウィンドウと、実際に出力した50諧調のグラデーションのウィンドウが表示されている。

額の裏側。ディスプレイにはそれぞれのプログラムコードと出力結果が表示されている
コードはいずれもシンプルだ

 「えっ?これだけ?」と拍子抜けしてしまうかもしれない。