写真2●2014年に東京大学で行われた対面学習の様子

 対面学習コースは有料にもかかわらず、全国から多数の受講者が集まって活発な議論が交わされている(関連記事:シニアや社会人も積極的に受講、“学びの壁”を取り払う無料オンライン講義の威力)。年齢や職業、住んでいる場所が違っても、同じ学問的興味を持つ人同士ならすぐに打ち解け合い、強力な絆が生まれる(写真2)。その現場を目の当たりにし、「“知”を媒介にしたコミュニティの強さを実感した。これが、様々な分野に広がる可能性を感じている」(伊能氏)。

 その一つが、企業による実施だ。例えば企業が自社技術の解説を学習コンテンツとして仕立て、gacco上で無償公開する。それだけでも自社イメージ向上などに役立つが、興味を持った人を集めて対面学習を開催することで、思わぬ企業や個人とのコラボレーションが生まれる可能性がある。自社のファン育成にも生かせる。またドコモgaccoにとっては、こうしたきっかけ作りの場を提供することで手数料収入などが見込める。

 同じ仕組みで、地方創生や伝統技術の伝承といった社会貢献も可能になる。存続の危機にある伝統工芸なら、その技を伝える学習コンテンツを広く公開。これがきっかけで新たなアイデアを呼び込んだり、後継者を確保したりできるかもしれない。「多様な人が集まることで、当事者は気づいていない価値の再発見ができる。そこから、お金が回るきっかけが生まれる。gaccoを、そんなプラットフォームにしたい」(伊能氏)。日本を代表する伝統工芸品である和服を自ら身にまとって出社する理由の一つには、そんな思いもあるという。

 いずれも、先行サービスのない新たな挑戦だ。「面白いことをやるには、あえてリスクを取る局面もある。ドコモという大企業では難しいことも、ドコモgaccoならやりやすい」(伊能氏)。ベンチャー精神で、新領域の開拓に挑む。