分析対象のデータは、受験サプリのサイト内で利用者が閲覧している動画の種類、閲覧頻度、閲覧時間、解いたドリル(練習問題)の種類・点数、受験サプリの内容を案内するWebサイトの閲覧履歴などだ。2013~2014年度の利用者、数万人分のデータを分析している()。

図●利用者ごとに利用動向を分析する(時間帯ごとの利用状況分析の例)

 個々の利用傾向だけでなく、複数の要素を組み合わせて学習効果を推し量る。動画を閲覧した後にドリルに取り組んだ割合や、動画の閲覧傾向とドリルの点数の関係、案内Webサイトで閲覧したページの種類や時間と会員登録した利用者の割合などだ。

 データを基に算出するKPI(重要業績指標)の一つが「残存率」。全登録利用者のうち、登録した翌週以降もサービスを使い続ける利用者の割合を指す。

 萩原氏は残存率と解答結果を掛け合わせて分析を実施。会員登録した後1~2週間で取り組んだドリルの正答率が60~70%の利用者が、最も高い残存率になることが分かった。この範囲の利用者が、学習のモチベーションが最も高くなるといわれる正答率85~90%へ近づくよう、視聴を薦める講義動画を選んだりドリルの難易度を調整したりしているという。

 同社はこれまで、会員登録した利用者へ講義動画を見せるだけでなく、積極的にドリルを実施するよう促していた。ドリルに取り組む利用者ほど残存率が高いことが分かっていたからだ。ただ、ビッグデータ分析に取り組む以前は、正答率と残存率の具体的な関係までは分からなかった。

 ビッグデータ分析の結果、会員登録した直後の正答率が20~30%だと、利用者は難しすぎと感じてすぐに使わなくなる。逆にいきなり90%などと正答率が高くても、簡単すぎということでこれも残存してもらいにくいことも見えてきた。「教育分野の通説に沿った結果だが、それがデータで裏付けられた」(萩原氏)。

 残存率以外にも、退会率や有料課金率、案内サイトを初めて訪問してから会員登録するまでの時間など、様々なKPIを計測している。分析結果はサービス内でのコンテンツの選択に活用。ECサイトで購入履歴などを基に商品を推薦する「レコメンデーション」機能のように、利用者による評価の高い動画や利用者の理解度に合った動画などをサービス内で表示し、視聴を促す。利用方法の解説や画面デザインなど、サービスそのものの改善にも生かしている。

 「サービスの品質改善や利用者の満足度向上の取り組みは、スマートフォンゲームと同じ。受験サプリは分野を学習に置き換えた、いわばインテリジェント(知的)なゲームのようなものだ」。萩原氏は、同社のビッグデータ活用をこう表現する。今後は「勉強サプリ」など、同社が提供するアプリシリーズにも同様の取り組みを広げることを検討している。