写真5●第19回文化庁メディア芸術祭のイベント(功労賞シンポジウム)「テレビゲームの時代:世界へ羽ばたく日本のゲームとアニメーション」ではモデレータの一人を務めた

 これらに加えて、私がシナリオとマンガの両方を描いていたことも大きいと思います。学習マンガでは、絵を描く人が直接触っていないことがあるんですね。私の場合は、全部自分でやって、自分で失敗もして、例えばシンタックス・エラーをいっぱい見て、泣きながら実行した体験を内容に盛り込んでいました。

 初心者・入門者が経験するような痛みを自分がまず感じるところから体験していたのがよかったです。ある意味、自分が体験していたからこそ、失敗をしても怖くないよということを読者にきちんと伝えることができたと思います。

 今でもプログラミングをされているのですね。

 ここしばらくは、Pythonをいじっていました。2005年、54歳になってから早稲田大学人間科学部eスクールに入ったんです。ここではJavaを学びましたが、その後、2009年、58歳で早稲田大学大学院人間科学研究科に進んだとき、統計学の計算をするためにPythonを使うことにしました。

 統計解析ソフトのSPSSやRは、価格面や言語仕様面からなかなか使いにくい。そのため、Pythonを使って統計計算できるようにし、そのWebサイト「こんにちは統計学」を作成して公開しています。

 子供がプログラミングする意味についてどう思われますか。

 論理的に考えられるということと、仕組みを理解できるということが大事ではないかと思います。問題解決というか物事を判断して実行するときには、論理的に考えて冷静に行動すべきときがいろんな局面であるでしょう。また、物事のブラックボックス化に甘んじるのではなく、中身を理解することも重要です。例えば、Javaプログラミングでもライブラリを使うだけではなくて、その中身も理解しておくべきだと思います。そうでないと、いざというときに応用が利かないと思います。そもそも私自身、仕組みが見えないと嫌なんです。

 『こんにちはマイコン』を書かれたときには、IT人材を育てようという意識はありましたか。

 全然ないです。まず、自分が楽しんで、ゲームが作れるよ、こんなに楽しい世界があるよ、というのを伝えたいだけでしたね。実際、それを書籍にしたのが『こんにちはマイコン』だったのです。