この論理的思考力は、算数を解くことでも鍛えられるでしょう。(数学者の)ピーター・フランクルさんとお話ししたときに、「数学とは、数のことではなくて、まさに論理的な思考力のことを言うんだ」というようにおっしゃっていました。日本では、計算をするのが算数や数学だと思われがちですが、そうではありません。先ほど、「自分にとって何が最適なのか」ということを言いましたが、それを論理的に考えて解くことが算数・数学なのです。

 脳の仕組みから言うと、数学的能力とは、いろんな脳の回路の合わせ技です。例えば、空間的な処理だと空間とか体のイメージの処理をしている頭頂葉を使っていますし、第一次視覚野を中心とする後頭葉を中心とする視覚のネットワークや、側頭連合野にある言語の回路も使っています。さらには、記憶力も必要になるので、そのための回路も使われています。算数の問題は、脳のさまざまな回路が総動員されないと解けないのです。

 そして、これらの回路は鍛えないと衰えます。体を鍛えるためにジムに行ったりする人は多いと思います。体にあるさまざまな筋肉をバランスよく鍛えないといけないように、思考力もバランスよく鍛える必要があるのです。

 鍛えるためには、体を鍛えるときと同様、ある程度の負荷をかけないといけません。ちょっと歯ごたえのあるウエイトを持ち上げないと筋肉が鍛えられないように、脳の回路も「ちょっときついな」と前頭葉にあるモニター領域が感じるくらいでないとトレーニングになりません。