こうした成果に目を付けた学習塾などが10社ほど試験導入し、効果測定も始めた。2016年1月には製品版をリリースし、対象学年や教科を順次拡充していく。

一人一人に最適な学習を

 さらに2015年10月には、TreasureBoxのみを利用する学習塾を同社が開講させる計画だ。この塾では、教師は従来と異なる役割を果たす。知識を伝えるのはTreasureBox。「ただ、“なぜその学習が必要なのか”を説いたり、生徒の学習態度などを把握して適切な指導をしたりといったことは人間にしかできない」(神野氏)。一人ひとりの集中度をデータとして提示するTreasureBoxの機能を活用することで、教師の指導をより充実したものにできるとみている。

 同社のサービスは多忙な教育現場の助けにもなりそうだ。現在の教育現場は教師がきめ細かい指導ができる環境が整っているとは言い難い。激務と人手不足が相まって、理解度や学習態度に応じた指導にまで時間を割けないのが現状だとされる。TreasureBoxが多忙な教師を支えるアシスタントとして機能すれば、教師はより質の高い指導のために時間や労力を費やせるようになる。

 別のアプローチでアダプティブ・ラーニングを実現しようとするところもある。アルクテラスの「カイズ」だ。主に個別指導塾向けのサービスで、児童/生徒ごとに適した学習スタイルを判別し、これに沿った指導法や教材を提案する。

 「自分自身、小学校6年生まで勉強が苦手だった。ただ参考書を読んで驚くほど理解できるようになった。“先生の説明を耳から聞いて理解する”学習方法が自分に合わなかったのだとようやく気づいた」。同社の新井豪一郎代表取締役社長は、こんな実体験を持つ。人によって効果的な学習スタイルが異なることを痛感したことがカイズ開発の原点だ。

画面●3種類の学習スタイルのうちどれに当たるかを判定。学習ペースなど、そのほかにもいくつかの要素で診断を行う

 カイズでは、学習の習熟度ではなく、その子供が物事を理解する方法を基に最適な学習スタイルを判定する。学習スタイルは大きく3種類。問題の全体像を視覚的に示すと理解が進む「ゴール重視型」、順を追って考えるのが得意な「プロセス重視型」、過去に学んだことに当てはめて物事を理解する「パターン重視型」である。どれに当たるかは、30問ほどの質問に答えることで判別する。